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話疲れて眠ってしまった美佳を見ながらなかなか眠れない夜を過ごしていた。
美佳が戻って来た日、久しぶりに酒を飲みかわしながら、娼婦として生活していたことをなんとなしに聞いた。
口では股の緩いお前にぴったりだなんて言ったけど、内心なんでそんなことしてんだと思っていた。
美佳が俺たちの元を離れた時、なんであんなに寂しそうな顔をしてまで出ていかなければいけなかったのか、当時ガキだった俺には何にも理解できなかった。
ただ、自分の身を呈してまで俺たちを護ろうとしてくれるアイツの代わりになることも出来ない自分が悔しかった。
いっつも俺たちの後ろをくっついて回っていたアイツはいつの間にか強い女になっていた。
剣術だけではない、その精神すら…強くなけらばならなかった。
普通の年頃の女なら着物がどうだ、男がどうだと騒いでいただろうに…
たったひとりで色んなもん背負って…ただ先生を助けたい、俺たちを護りたい…ただそれだけで。
どんだけ俺たちのことが好きなんだって…ここまで身体張って傷ついてまで護るほど価値のある人間じゃねぇよ。
俺たちはただ…俺たちはただてめぇの笑顔を見るのが好きだっただけだ。
ずっと側でてめぇの笑ってる顔を見ていたかっただけだ。
そんな俺たちの勝手な思いを、護る必要なんてなかったのに…
神楽「銀ちゃん?」
銀時「んぁ??なんだ寝てなかったのか?」
神楽「眠れないアル。」
銀時「さっさと寝ろ。クソガキ。」
神楽「銀ちゃん、美佳姉は強いアルな。でも、人間臭いアル。
銀ちゃんたちのことがめちゃくちゃ好きで、めちゃくちゃ大事アル。
だから…」
知ってる。
美佳にとって俺たちがどれほど大切かなんか分かってる。
家族のない俺と美佳にとっては先生は親も同然だった。
美佳にとってはヅラも高杉も家族同然だった。
ずっと一緒に居て、ケンカしてバカやって…その日々が美佳にとってどれほど大切な日々だったか…分かってる。
神楽「銀ちゃん、なんで美佳姉は笑えるアルか?
あんな思いをしてなんで笑えるアルか?」
銀時「さぁな。バカだからじゃねぇの?」
神楽「…私もこんな強いバカになりたいアル。
大切な人を守る強さ持った女になりたいアル。」
銀時「んじゃぁ、もっと胸でかくすること頑張れ。」
神楽「心配しなくても、あと5年もすればダイナマイトボディになってるアルネ。
その時に言い寄って来ても銀ちゃんなんか相手にしてやらないアル。」
何言ってんだ、このクソガキ。
これ以上、美佳みたいなのが増えたら俺が何人居ても足りねぇっつーの。
でも、アイツの過去も俺の過去も消えるもんじゃねぇ。
大切なのはアイツが今ここにこうして俺の側に居ることだ。
だったら、今度はこの場所をアイツが失わなくていいように、俺が護り抜くだけだ。
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