─────---- - - - - - -
猿飛「言葉もないわ…なんなのよ、不幸のオンパレードじゃない…どんだけ背負いこんでんのよ。」
服部「おい、猿飛!!そんな言い方!!」
猿飛「なんで…っっ…なんでたったひとりの女がそこまで背負わないといけないのよ!
何が国の為よ…私たちが護っていた上様はこんな事をしていたって言うの。
女ひとりにすべてを背負わせ、何が国よ。あの人が何をしたっていうのよ!!」
妙「近藤さん、あなたに頼み事するのは本意ではないけれど…美佳ちゃんの事を…」
近藤「分かってる。分かってるよ、お妙さん。
俺は…幕府の人間である前にひとりの人間でありたい。
彼女には恩もある。」
土方「おい、チャイナ、メガネ…そのきったねぇ顔どうにかしやがれ。
てめぇらまで泣いてやがったら、せっかく辛い事を思い出してまで話をしてくれたアイツに顔向けできねぇだろ。
なんでアイツが俺たちにこの話をしたのか分からないでもあるまい。
アイツが戻って来たのは万事屋の為だ。てめぇが居なくなってから、ひとりで悲しみを背負った万事屋をもうひとりにさせねぇ為だ。
でも、今のアイツがここに居るのはそれだけじゃあるまい。
きっと俺たちもアイツの大事なモンの中に入れてもらえたんだよ。」
新八「土方さん…」
土方「アイツの事だ。話を聞いてお前たちが拒絶すれば何も言わず出て行くだろう。
少しでもお前たちに迷惑がかかれば、気に病んで姿を消すだろう。
それでもアイツは俺たちの事を信用して話をしてくれたんだ。
受け入れるかどうかはお前たちが決めればいい。
ただ、アイツの人となりは否定することだけはしてやるな。」
神楽「何言ってるネ、ニコ中。美佳姉を否定する理由がどこにあるネ。」
涙でボロボロな顔をしながら、神楽と新八は笑って見せた。
美佳はこうやって何度も悔しい思いをしながら笑って来た。
そんな彼女はいつもまっすぐで強く優しかった。
沖田「姉さん、俺ァ、決めました。俺ァ、何があってもあんたを護りやす。
あんたはもう苦しむ必要はない。
…何人たりともあんたを傷つけるヤツは、俺が叩き斬ってやりまさぁ。
だから…姉さん。あんたのその綺麗な顔を悲しい涙で濡らすのは止めてくだせぇ。」
締まった戸の向こうに向かって沖田は話しかけた。
銀時「ねぇ…何言ってんの。あの子。こっぱずかしいんだけど。
俺たちも居るの忘れてない?なんなの、怖い、最近の子!!」
桂「…何を言うか、お前と高杉も若かりし頃はあんなもんだったぞ。
なぁ、美佳。」
銀時「うるせぇよ、お前、今の今まで泣いてたくせに!!泣き虫!!」
桂「お前はそんなんだから高杉に女を根こそぎ持って行かれるのだ。」
銀時「違いますぅ〜。銀さんの方がモテるんですぅ。」
『晋ちゃんの方がモテてた気がするけどね。』
そう言いながら戸を開けると、そこには沖田が何とも言えない悔しそうな顔のままそこに立っていた。
『…ドSなんだから、もっと楽しそうにしなさいよ。』
沖田「ドSは打たれ弱いんでさぁ。」
『そんな顔しないで、総悟。大丈夫だから…もう済んだことだから。
迷惑かけると思うけど、でもみんなが私の事を嫌わないでいてくれるのなら私はここで笑えるから。ね?私に泣くなって言う人間が涙流してんじゃないよ。』
← →
18/19
←contents
←main
←top