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坂本は自身のカンパニーの副艦長である陸奥と共に美佳を助け出す手筈を整えた。
ある夜、自身の部下たちに商人として店に入りこませると、自分は美佳の部屋に入りこみ荷物に紛れ込ませて美佳を廓から連れ出した。
『あの…陸奥さん、ありがとうございました。』
陸奥「艦長命令じゃ。おまんが気にすることじゃないき…それにしても、随分と簡単だったのぅ。」
坂本「ん〜なんでか廓の人間が急にバタバタと倒れ出してのぉ。」
坂本の言葉に美佳は服部の顔が浮かんだ。
結局最後までなんの仕事で美佳のところに来ていたのか教えてはくれなかったが、服部の普段の身のこなしからして相当な手練れである事だけは分かっていた。
そして、こんなことが出来るのも、こんなことをやってくれるのも服部しか居なかった。
陸奥「美佳、向こうがおまんが居ない事に気が付けばすぐにうちの戦艦は目を付けられる。
どこか途中の星で降りて、地球に帰る方がえぇじゃろ。」
坂本「なんじゃぁ、もう少しゆっくりしてもえぇじゃろ?」
陸奥「おまんは商談が残っとるのを忘れたがか!!」
『フフ…いいコンビだね。2人は。』
坂本「ワシはこんな子供のような体の女は好みじゃないき。うわっっ…痛い!痛いぜよ!!陸奥ぅぅぅぅ!!」
途中の星で下ろされた美佳は名前を変え、時には男になりすまし、星から星へと移動して自分の足跡を消した。
そして最後にたどり着いた星で知り合ったのが神楽と同じ大きな傘を持った男だった。
「ふ〜ん、地球に行きたいんだ?」
『そう。ちょっと野暮用で。』
「じゃぁ、うちの船に乗る?」
なんとなく危ない匂いのする男だった。
しかし、それよりも早く地球に帰りたかった。
早く銀時たちに会いたかった。
10年以上我慢をした。
何度も辱めを受け、何度も死のうとした。
それでも、彼女の頭に浮かんだのは銀時たちの姿だった。
松陽の最期の日、なんで自分は彼らの側に居ることができなかったんだろう。
なんで銀時にあんな辛い思いをさせてしまったのだろう。
傷つくのは自分だけで良かったのに。
辛い思いをするのは自分だけで良かったのに…
今更戻ったところで何ができるという訳でもないだろう。
過去は変わらない。
自分が汚れてしまったことも消える訳ではない。
それでも、彼らの側で彼らの傷を分かち合うことはできるかもしれない。
もしかしたら、彼らに迷惑をかけることになるかもしれない。
でも、きっと彼らなら…
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