─────---- - - - - - -
そんなある日、美佳が居た廓に商いにやって来たという一行が現れた。
美佳は主に言いつけられ客を自室で待っていた。
「あぁ〜やっと終わった〜。交渉事は肩が凝るぜよ。
あぁ、堅苦しい挨拶は…」
『…辰…馬…』
聞き覚えのある土佐訛りと大きな声に挨拶をするのも忘れ顔を上げると、そこに居たのは坂本だった。
坂本「美佳…!!」
『辰馬…辰馬!!っっ!!』
顔を確認すると、美佳は自分の顔を歪ませ坂本に抱き付き、子供の様に泣きじゃくった。
坂本「…痩せたのぅ。ワシはもうちょっと女らしい丸い体が好きじゃ言うたじゃろ。」
坂本は優しく美佳を抱きしめた。
それから坂本は時間を見ては美佳に会いに廓にやって来た。
服部「随分と顔色が良くなったじゃねぇの。」
『バカ兄貴が会いに来てくれたの。』
服部「ん?高杉か?」
『違う。坂本辰馬。』
服部「声のデカイ人か。」
『うん。…あのね、全ちゃん。私…逃げ出す覚悟出来たよ。
もう1度…バカ兄貴たちに会いたい。』
服部「…全ちゃん結構頑張ったのに、結局いいとこは兄貴たちに持って行かれるんだな。
しかし、事は慎重にだぞ。」
『うん、分かってる。ありがと、全ちゃん。
私、全ちゃんが居なかったら多分決心付かなかった。これなかったら…元気出なかったから。』
時間が経ってボロボロになった高杉と桂の手配書を抱きしめる美佳に服部も安心した表情を見せる。
そして、それから服部が美佳に会いに来ることはなかった。
← →
15/19
←contents
←main
←top