─────---- - - - - - -
銀時たちと別れ、夫となる男の元へと向かった美佳。
しかし、彼女が連れていかれたところは男の所ではなく地下の牢獄だった。
まぁ、そういう事だろうと美佳もそれを受け入れる。
その夜やっと現れた夫になるという男は幕府の重役であった。
「元攘夷志士、朝日奈美佳。
お前はこれから幕府の人間として攘夷志士を駆逐してもらう。
拒否は許さぬ。」
それだけを告げると男は去って行き、美佳は拍子を抜かれてしまう。
そしてその言葉通り幕府軍のしんがりとして、あらゆる戦場で美佳は戦う事になる。
「死神だ!!気を抜くな!!」
信頼できる人間など誰も居ない。
銀時たちのように自分の背中を護ってくれる仲間など居ない。
一言も発することもなく美佳はどんどん敵を斬り倒して行く。
そんな美佳の顔からは一切の表情が消えてしまっていた。
そして、3ヵ月程経った頃とうとう美佳の身体の秘密を暴こうと幕府が動き出す。
攘夷志士として活動していた頃、大きな怪我を負った銀時たち四天王が驚異の回復を見せたことがあった。
その情報が密偵に入っていた兵士からもたらされ、幕府は唯一の女性志士である美佳に目を付けた。
幾度にも渡る検査の結果、美佳の身体には外来種の寄生型エイリアンが寄生していることが分かった。
そのエイリアンは即効性の治癒能力を持ち主に宿す代わりに、持ち主の性欲を主なエネルギーとし持ち主の身体がなくなるまでその身体に寄生し続ける事、
そして、寄生される持ち主はまるで動物の発情期のように性欲が強くなる時期があることなどが分かった。
その検査結果はもちろん美佳にも知らせられ、美佳は自分の身体の異変にやっと納得することが出来た。
「しかし、このエイリアンは普通に生活をしていて寄生するものではない。
あなた何か身に覚えは?」
『以前誘拐され天人たちに暴行を受けたことが…その時の記憶は正直あまりありません。』
「そうですか…まだそんな若いのに苦労されたんですね。」
検査を担当した医師は気の毒そうに美佳を見た。
しかし、美佳はもう仕方がないと笑って見せる。
その後の美佳はまるで実験のように傷ついた兵たちの相手をすることを強いられた。
怪我をした人間の傷口を舐め血を口に含む事で発揮されるその能力は、幕府にとっても秘密兵器となった。
機械の様に感情もないまま、あてがわれる男の相手をする。
そのうち感覚は麻痺し、何人の相手をしたのか数えるのも面倒になった。
男たちの中にはそんな彼女を可哀想に思い、逃げる手伝いをすると申し出る人間も居たが美佳は頑として受け入れなかった。
幕府の中に入りこみ、松陽の情報を手に入れたい。
少しでも銀時たちの役に立ちたい。
美佳の頭にはそれしかなかった。
美佳が戦場に出ればその場に生きて残る者は居ないと、幕府軍は喜んだがそれは彼女の策略で、わざと急所を外し大袈裟に切り付け一時的に気を失わせていた。
気を失った攘夷志士たちの懐にコツコツと仕入れた情報を書いた紙を忍ばせる。
しかし、そんなことが長く続くわけもなく、とうとう美佳が志士たちを逃がしていたことが見つかり、彼女は咎に掛けられた。
くしくも、幕府は天人から開国を迫られその交渉のために時間稼ぎを必要としていた。
試しに、美佳の話を天人側にすると、天人たちも興味を持ち彼女を引き渡すのならしばらく猶予を与えると交換条件を突き付けた。
← →
11/19
←contents
←main
←top