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美佳が旅立つ日が2日後に迫った日、遠征から戻って来た高杉はまっすぐに美佳の元へとやってきた。
『晋ちゃん、身体綺麗にしておいでよ。』
高杉「風呂。」
『入って来いっつってんでしょ。』
高杉「背中流せ。」
『あのさぁ、晋ちゃん。皆居るとこでそういうこと言うのやめてくんない?
一応、これでももうすぐ嫁ぐ身なんですけど…』
高杉「知るか。」
風呂に入り、血で汚れた高杉の背中を流す。
綺麗な顔に似合わない筋肉質な身体。
そして、綺麗な顔に似合わない傷だらけの身体。
この傷は何度となく仲間を護ろうとして負った傷だ。
高杉の背中を流しながら、美佳の目には涙が浮かんだ。
きっともう2度とこの背中に触れることはない。
いつも甘やかしてくれていた高杉に泣きつくことももう出来ない。
すると突然高杉が美佳の腕を引っ張っり、彼女をきつく抱きしめた。
『発情すんな、バカ晋助。
着物濡れちゃったでしょうが。』
必死に平静を取り繕う美佳を高杉は離さなかった。
『晋ちゃ〜ん。晋助く〜ん!!』
何度呼ぼうと高杉からは返事がない。
諦めたように美佳も高杉の背中に手を回す。
高杉「惚れてたよ。ガキの頃からずっと。
てめぇの事しか見えてなかった。
惚れてんだ、てめぇみてぇなバカな女に。本気で。」
高杉の言葉に美佳の目からは一際大きな涙が零れ落ちた。
『なんで今頃言うかなぁ....』
高杉「そらぁ、おめぇは違ぇからだろ。
それでも俺はお前の側に居られれば良かった。
お前が笑ってる姿見られれば良かった。
…お前は向こうで笑えるのか?」
『笑える訳ないじゃない。
晋助も銀時も小太郎も辰馬も居ないのに....
でも、笑ってみせるよ。
ちゃんと生き抜いて見せるから....だから、晋助も生きて....きっとそのうち晋助も家庭持って..』
高杉「要らねぇよ。てめぇ以外の女に惚れる事はねぇ。」
『こりゃまた随分な殺し文句言ってくれるじゃない、晋助のくせに....』
高杉「気が変わったか?」
『変わらない。』
高杉「ククク…つれねぇなぁ。」
そのまま高杉は美佳に口づけを落とし、2人はそのまま身体を重ねる。
これが最後かもしれない。
互いの身体を刻み込むように、優しく抱き合った。
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