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『刀下ろして。』
「「「「美佳!」」」」
銀時「来るな!!」
『私の話でしょ。私の居ないところで話し進めんじゃねぇよ。』
銀時たちに部屋で待っているように言われた美佳は隠れて話を聞いていた。
銀時たちを一蹴すると、使者たちを睨み付ける。
『惚れたから嫁に来い?だったらてめぇで言いに来いっつっとけよ、おっさん。』
「朝日奈殿、良かった。お会い出来て…我が殿の所へ来ていただければ、今後の心配など何も要りませんぞ。
衣食住はもちろん、攘夷志士として活動していたことも不問とするように取り計らう手筈です。」
『何が目的だって言ってんだろ?
どこの世界に返り血だらけの女見て惚れる男が居んだよ。
お前んとこの大将はマゾか?マゾなのか??』
「殿は憂いておいでなのです。失礼ですが、殿の命によりあなたの素性を調べさせていただきました。
幼少時代の不運、攘夷戦争に参加してからの恥辱。
そんな苦しみを味わいながらも懸命に戦い続けるあなたを殿は支えてあげたいとおいでです。
もう苦しむ必要もないのですよ。
女性ならば、結婚して子を為すことを夢見るものでしょう?
これからは貴方も普通の女性と同じように普通の幸せを手にすることが出来るのです。」
『結婚して子供…?こんな汚れた母親、私ならごめんだね。
悪いけど、帰ってくれる?
時間の無駄。』
「…では、あなた方の師である吉田松陽を解放すると言ったら?」
その言葉に部屋を出て行こうとしていた美佳が驚き振り返る。
「先日の牢獄襲撃事件。あの件で吉田松陽は大きな怪我を負いましたが、まだ生きています。
久しぶりの再会、さぞ嬉しかったことでしょう。
まぁ、正直なところ我々としては幕府の国家レベルの機密を誰が漏らしたのか…犯人を追及しなければなりませんが…」
そういうとその使者はその場に居た攘夷志士の一人を睨み付ける。
『証拠もないのに、どうやってそれを信じろと?』
「証拠ならここに…」
使者が取り出したのは美佳が戦の際に長い髪の毛をしばるために使っていた紐だった。
子供の頃に銀時たちがあぁでもないこうでもないと言いながら誕生日に選んでくれたもの。
それを見間違うはずもなかった。
「どうやらあなた方にとっては思い出の品のようですねぇ。
意識がほとんどないというのに、それだけは放しませんでしたよ。
貴方方はあの男を助けたいのではないですか?」
高杉「ふざけるな!てめぇらの手なんか借りなくても…」
『…今日は帰って。すぐに返事は出来ない。』
高杉「美佳!!」
「もちろん。一生のことですからね。
しかし、我が殿もそこまで気が長い方ではないゆえ…ご決断はお早めにされた方がよろしいかと…」
そうして使者たちは帰って行った。
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