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松陽の生死を確認することも出来ず、時間ばかり過ぎていく。
松陽と美佳の痛みを想うと、銀時たちは自然と強くそして冷徹になっていった。
美佳はたまに悲しげな表情を見せるものの、それでも懸命に戦い続けた。
松陽や銀時たちの為に…そして、死んでいった仲間たちの為に彼女は生きていかなければならなかった。
そんなある日、幕府からの使者が彼らの陣営にやって来た。
難しい顔をして彼らと対峙する銀時たち四天王。
本来なら、こんなところに幕府から直接使者などやってくるはずもない。
桂「どういう風の吹きまわしか…教えていただきたい。」
ピリピリとした雰囲気の中、桂が口を開く。
「単刀直入に申し上げます。攘夷志士・朝日奈美佳殿をこちらに渡していただきたい。」
使者の言葉に銀時たちは眉を顰める。
桂「貴殿はご自分が何を仰っているかお分かりか?
我々はいわば幕府から見れば反逆者。もちろん、美佳も。
それを彼女単身でそちらに渡せばどうなるか、我々が想像しないとでも?」
「朝日奈殿のお噂は常々、我々幕府軍の耳にも届いております。
女ながらに戦場を駆け回り、蒼月を背に敵を斬る姿まさしく死神。
しかし、それでいて戦場に咲く一輪の花のごとき美しさ。
お恥ずかしながら、我が軍の兵の中にはどうせなら朝日奈殿の手に掛かって死にたいと申す者も居るくらい…」
高杉「要点を得ねぇな。何が狙いだ。」
「実は…先日の戦の際、朝日奈殿に一目ぼれしたと我が殿が…それで交渉に向かう様にと申されたのです。」
銀時「ぶはっ!!命懸けた戦いの最中に呑気なもんだな、お前のとこの大将は!
でも、アイツは無理。
そこらへんの姉ちゃんのがよっぽど美人で気立てもいいだろ。
そっち当たりな。」
坂本「そうじゃ〜アイツはおんしらに相手出来る女じゃなか。諦め。」
「それは彼女があなた方と肉体関係があるからですか?
己の性欲処理の為に、ひとりの女性の幸せを奪うというのはどうなんでしょう?」
その言葉に銀時たちは一斉に刀を構える。
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