─────---- - - - - - -
そんな彼らの気遣いは彼女には届いていたのか、居なかったのか…戦場での美佳はどんどんと冷酷になった。
その反動で戦から戻ると泥の様に眠る。
それとは別に襲ってくる例の身体の不調。
その頃には甘いものを食べ少しは不調を抑えることが出来る様になっていたが、
なぜ甘いものなのかは誰にも分からなかった。
疲れ切った彼女はしばしば松陽に会いたいと漏らすようになっていた。
松陽が捕まってから数年。
口から出そうなその言葉をずっと言わないように我慢してきた。
それは美佳だけでなく、他の3人も同じだから。
高杉「だいぶ弱っているな。」
坂本「…このままここに置いちょくがか?」
高杉「てめぇ、まだそんなこと言ってるのか。」
坂本「あの時とは違うぜよ。美佳のことは認めちょる。
でも、ワシはもう見ちょるのが辛いき…」
桂「…アイツの背負う痛みを少しでも変わってあげれればよいのにな。」
銀時「そんなことアイツが許す訳あるめぇよ。
アイツは俺たちが護る。何があってもだ。
さっさとこんな戦終わらせて…」
彼らの言葉を寝たふりをして聞いていた美佳はそっと銀時に近づくと背中に抱きついた。
銀時「美佳?お前寝てたんじゃねぇのか?」
『うん…目が覚めちゃった。ゴメンね、心配ばっかりかけて。
でも、皆が心配すること何にもないから。大丈夫だから。』
その割に銀時の背中に抱き付いて動こうとはしなかった。
素直に彼らの気持ちは嬉しかった。
ただそれに応えられない自分が悔しかった。
泣き顔を銀時に見られないように銀時の背中で涙を拭った。
心配を掛けたくないのに、邪魔になりたくないのに…弱い自分の心に蓋をするように美佳はより強くなった。
← →
8/16
←contents
←main
←top