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話は戻って攘夷時代。
不運にも事件に巻き込まれた美佳。
この時代、男にぞんざいな扱いを受ける女は多かった。
それは地球人、天人関係なく…
だから、美佳は覚悟していたのかもしれない。
いつか自分もそんな目に遭うのではないかと…
恋愛や結婚に夢を見るあの歳でそれを覚悟するのがどれほど大変なことだったろう。
そんな中で覚悟を決め、辱めを受けようとも笑って見せた。
自分の身体の変化に戸惑いながらも、気丈に振る舞った。
美佳の身体の変化は銀時たちだけの秘密だった。
それは一重に彼女を護るため。
これ以上、美佳に傷ついて欲しくなかった。
もう十分だ。
たかだか十何年しか生きていない美佳は、たった一人で色んな傷を背負って来た。
小さな身体で、どんなに傷ついても彼女は笑った。
そんなまっすぐで一生懸命な彼女を彼らはいつからか護りたいと思った。
……
最初は気に食わなかった。
女がなぜ戦場に居るのか、なぜ鬼と恐れられる銀時たちが危険を冒してまで側に置くのか…
子どもの色恋に付き合っている状況ではない。
帰れと言ったのに、あの女は帰らなかった。
戦場は男の居場所だ。
女は家で温かいご飯と温かい風呂でも用意して待っていればいい。
女の綺麗な手が血で汚れるのは見たくない。
それなのに、あの女は逃げなかった。
毎日心配そうな顔をして連中を送り出し、炊事洗濯の世話をし、次々に運ばれてくる怪我人の介護をし…ここに残す兵は最低限でいいと、怪我人たちは自分が護ると…
誰にも聞かれないように銀時たちだけに告げていた。
女だからと馬鹿にされていたのに、それでもただあいつ等の役に立ちたいとそれだけで、あの女は馬鹿にした連中ですら護った。
そして、あの日。
月を背中に笑ったあの女は、恐ろしいほどに美しかった。
自分の身体を盾に、大切な仲間を護ろうと男の中で走り回る彼女は誰よりも強かった。
認めざるを得なかった。
なんであいつ等がこんなにもこの女を大切にするのかを。
護ると決めたものは、必ず護り通す…例え、自分の身がどうなろうとも。
そんな危なっかしい女だから、例え何があろうと、まっすぐで居てくれる女だから側に居て欲しいんだ…
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