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必死に馬を走らせ、戦場近くまで来ると、高台から様子を見る。
確かに、戦場は混乱状態、銀時たちがどこに居るかも分からなかったが、こちらの方が押されているのだけは確認できた。
「どうしましょう、このままでは銀時さんたちがどこに居るかも…それに暗くてよく見えませんし。」
『…戦ってさ、大将の首取ったら終わりだよね?』
「えっ…あ、はい。そうですね。」
『じゃぁ、自然と大将の居る方角は人が増えるよね?』
「そうですが…銀時さんたちは一緒に行動する方たちでは…」
『銀時と晋助はね。でも、小太郎は違う。
小太郎は必ずあいつらの背中を護る位置にいるはず…』
必死に目を凝らし、彼らを探した。
『…居た!!』
彼らを見つけたのはやはり美佳だった。
長いこと銀時と2人きりで身寄りのない生活を送っていた美佳は夜目と呼ばれる暗い中でも物が見える視力を持っていた。
しかし、桂を見つけたはいいが状況は悪い。
銀時と高杉の後ろには大柄の天人が迫っていて、桂たちだけでは抑え切れていなかった。
美佳は刀を握ると兵士たちが止めるのも聞かず、戦の中に駆けて行った。
「四天王もここまでだ!!」
銀時「辰馬!!」
高杉「ヅラ!!」
「今だ!!たたみかけろ!!」
天人たちが一斉に桂と坂本に斬りかかる。
銀時たちは慌てて彼らを庇おうと動く。
「戦場で仲間を庇うなんざ、甘いんだよっ!!」
『甘いのはどっちだ?ちゃんと後ろも守れよ、バーカ。』
ドサッっという音と共に、銀時たちに斬りかかろうとしていた敵が血を流して膝から崩れ落ちた。
一瞬の出来事に敵に隙ができ、その瞬間に桂たちに斬りかかろうとしていた敵を銀時たちが切り倒した。
「お、女?」
「何をしている!!相手は女だ!!力で押せ!!」
女だ、女だ…いつもそれだ。
女だろうが、何だろうが戦場に居る敵なら斬らなきゃいけない相手だろうに…
もういい加減聞き飽きた。
そして、美佳は不気味に光る蒼月を背中にニッコリと笑う。
『さっさと死ねよ、クソ共。』
銀時「あっ....」
高杉「終わりだな。」
坂本「何を言うちょるがか!女子ひとりにあんな天人相手に出来る訳がない!!
はよ助太刀を!!」
桂「まぁ、見ていろ。坂本。アイツは女でも鬼の子だ。
特に俺達の事となると、とてつもなく強い。」
桂の言葉通り、美佳は次々に天人たちを倒して行く。
『ほ〜ら、女相手だから楽でしょ〜?』
敵に一瞬の隙も与えない美佳の動きに味方の兵ですら驚きの表情を見せる。
『銀時!晋助!!さっさと大将の首取って来い!!』
高杉「フッ…言ってくれるじゃねぇか。…鬼兵隊!!俺に着いて来い!」
銀時「おい、ヅラ!!辰馬!!ソイツに遅れ取んなよ!!」
桂「冗談。戦場デビューのコイツに俺が負ける訳がなかろう!!」
坂本は初めてこの4人の実力と結束力を目の当たりにした。
何を言わずとも互いのやるべきことが分かっている。
美佳より遥か多く、幾多もの戦場を共にして来た坂本よりも連携が取れている。
坂本は少しばかり嫉妬のようなものを感じた。
桂「坂本!!ぼーっとするな!!」
坂本「アハハハ!!誰に言っとるがか!!」
『お前だろ。』
坂本「…女は黙って家で待っとけ言うたに…何しに来たが。」
『辰馬〜お説教なら帰ってた〜っぷり聞いてあげるから、今は目の前の敵に集中しようや。』
それからどのくらい戦ったのだろうか、大方の敵も倒したところで銀時と高杉がケンカをしながら戻って来た。
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