─────---- - - - - - -
「あっおぃ!!」
「女だ!!」
『触るな。ぶっ殺されてぇのか。』
志士たちが集まる集会所に夜通し走って駆けつけると、女に飢えた男どもが近寄って来る。
鬼の形相で睨み付けると、途端に大人しくなった。
『晋助!晋助、どこ!!晋助!!』
銀時「おい美佳!!お前、脚早すぎだろ。」
『晋助!!晋助!!』
桂「なんだ騒々しい…!!お前たち、来てくれたのか。
高杉はこっちだ。入れ。」
「でも桂さん!!こいつら…」
桂「俺と高杉の馴染みだ。心配は要らん。」
小太郎に案内された部屋に入ると、傷だらけの兵たちがそこらじゅうに寝かされていた。
その部屋の隅に他の兵たちと少しだけ離されたところに晋助は居た。
腹には包帯が巻かれていたが、それでも血が滲みだしていた。
桂「仲間を庇ってな。すぐに手当てはしたのだが…何分ここには医者というほど立派なものは居らん。
せいぜい医学の道を志していた若者くらいだ。」
『晋ちゃん、晋ちゃん…起きてよ。ねぇ、晋ちゃん。』
桂「尽くせる手は尽くした。後は…」
『晋助が死ぬみたいな言い方しないで!!晋助は死なない!!
私が死なせない!!』
桂「美佳…」
それから私は晋助のそばで看病を続けた。
桂「すまない、知らせない方が良かったかもしれんな。」
銀時「いや…ありがとよ、知らせてくれて。
何も知らずに居る方が美佳にとっちゃ酷だ。
それよりどうすんだ、これから。
高杉はあの調子じゃ助かってもしばらくは養生しなきゃなんねぇだろ。」
桂「なんとかするさ。」
銀時「…ヅラ。」
桂「ヅラじゃない、桂だ。」
銀時「高杉が戻るまで俺がアイツの穴を埋める。」
桂「しかしお前はあんなに嫌がっていたではないか。」
銀時「まぁ、そうなんだけどよ。
でも…どうせ帰るっつってもあのワガママ娘はあそこから動かねぇだろ。
だったら、ここでのんびり高杉の目が覚めるのを待つより、てめぇの背中でも守ってる方が暇しねぇだろ。」
桂「…しかし、アイツを危険に晒すことになるぞ。」
銀時「お前は結局どうしてぇんだよ。散々誘って来てたくせに。」
桂「それはそうだが..」
銀時「言ったろ。俺が戦争に行きゃぁ、アイツは必ず着いてくる。
いずれこうなってたさ。
それに、アイツはケガの高杉置いて死んじまうほど弱くねぇよ。
何がなんでも、バカな兄貴を護ってくれるだろうさ。
あそこまで優秀なボディーガードは居ないぜ?」
桂「ふっ....そうだな。俺たちの魂はあんなに泣き虫な癖に、強かったな。」
銀時「…ヅラァ、お前よくそんなくさいこと言えるな。」
桂「何を言う、お前もだいぶ恥ずかしい事を言っていたぞ。」
銀時「うるせーヅラのくせに。もうお前のことなんか護ってやんねぇ。」
桂「鼻から要らぬわ、そんなもの。」
翌日から、銀時は晋助の代わりに攘夷戦争に参加した。
私のせいだなんだと大騒ぎしていたが、結局のところ晋助の代わりに小太郎を守りたかったんだと思う。
← →
7/10
←contents
←main
←top