─────---- - - - - - -
新八「それでは〜改めまして、美佳さん、おかえりなさい!!そして万事屋へようこそ!!!」
「「「「かんぱ〜いっっ!!」」」」
「ちょっとあんたら〜!!!金はあんだろうな!!」
叫びまくる連中にスナックのママの声は全く届いてなかった。
酒も入り、調子に乗り始めた彼らの輪を抜け、美佳はスナックのママに近づく。
『ママさん。』
「お登勢で構わないよ。」
『お登勢さん、私、銀時のところでお世話になることになりました。美佳です。これからよろしくお願いします。』
お登勢「いいのかい?アイツは年中金欠だよ。」
『相変わらずなんですね、そういうところは。大方…家賃も滞納してるんですよね?』
お登勢「…アンタ、銀時の馴染みなのかい?えらくアイツの事は分かってるようだけど?」
『子供の頃からの付き合いで…それでこれ、家賃と今日の飲み代です。
銀時には言わないでください。じゃないとアイツ仕事しないから。』
お登勢「まったく甘やかしたらいけないよ。」
そうは言うものの、お登勢は美佳が差し出した封筒を静かに懐にしまった。
『…何も聞かないんですね。素性とかそういう…』
お登勢「何言ってんだい。素性なら今聞いたろ。銀時の幼馴染だろ。銀時のってことはあの桂もか…」
『はい。寺子屋で一緒に…それから…』
お登勢「別に話さなくても構わないよ。
皆、色んな事情を抱えて生きてるもんさね。
それに、アイツがよく分からない連中の世話をするなんてよくあることさ。
あの新八だって使えないバイトだったのを拾ってきて、神楽だってチンピラにいいように使われてるのを拾ってきて。
まったく犬っころみたいな子だよ。
なんでもかんでも拾ってきやがって。
てめぇの面倒もろくにみれやしないのに。」
『銀時がそんなことを…』
お登勢「でも、なんでだろうね、アイツの周りにはいつもあぁやって人が集まって、あぁやって笑ってる。
しょうもねぇちゃらんぽらんな人間だけど、嫌いにはなれないんだよねぇ。」
『お登勢さんは?どうやって銀時と?』
お登勢「私かい?私はあれさね、拾ってやった方さね。その代り、うちの旦那に代わって、守ってくれんだとさ。」
『フフフ…腕っぷしだけはいいですもんね。』
こうして美佳の万事屋での初めての夜は更けて行った。
← →
6/7
←contents
←main
←top