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美佳はそのまま飯を作りに出て行ってしまった。
沖田「旦那ぁ、旦那は姉さんと付き合ってるんですかぃ?」
銀時「…ん〜突き合ってはいるけどな。」
沖田「なんでぃ、あんなラブラブだからてっきり…」
銀時「だってアイツ、ビッチだもん。」
土方「でもお前んとこ戻ってくんだろ。」
銀時「まぁなぁ。」
沖田「姉さんとは長い事会ってなかったんですかぃ?」
銀時「ん〜攘夷戦争終わる前だから、10年以上だな。
あのバカ、勝手に居なくなりやがってよ。」
銀時の言うのは、俺が調べたように美佳が攘夷戦争から忽然と姿を消した時期のことだろう。
でも、コイツにも何も言わなかったのか?
沖田「旦那はどこに行ったのか知らなかったんですかぃ?」
銀時「いや、知ってたよ。知ってたし、止めもした。
でも、アイツは一人で全部背負って、勝手に行っちまった。
正直、もう2度と会う事はないって思ってたさ。」
沖田「姉さんは一体どこに…?」
銀時「アイツぁ…アイツは身売りされたのさ。…この国にな。」
土方「身売り?」
銀時「あぁ、まぁ、身売りされるのを承諾して着いて行ったのはアイツだけどな。
俺たちもアイツもそんなもん嘘だって知ってたさ。
でも、嘘だろうがなんだろうが縋りつきたくなる時ってあんだろ。」
沖田「じゃぁ、なんで身売りを引き受けたりしたんですかぃ?」
銀時の野郎はなぜだか今日は饒舌で、ペラペラと喋ってくれる。
寝起きだからいいのか?
『銀時、トッシーたちが子供だからってベラベラと…』
銀時「ぬぁ!そうだった。すっかり忘れてた。」
『フフ、別にいいけどね。ちゃんと皆に話しするつもりだったから。
でも、ゴメン、神楽ちゃんと新八くんが居る時でもいいかな。』
美佳の口調に俺も総悟も「分かった。」と言うしかなかった。
そんな俺たちに気が付いたのか、美佳は一つだけと俺たちに笑いかけた。
『さっきの、総悟の質問。なんで私が見売りしたのかって。
この間、話ししたでしょ。私が攘夷戦争に参加した理由。
あれと一緒だよ。
あの時、私の元にやって来た幕府の連中は、私の身体を差し出せばその人を開放してくれると約束してくれた。
もちろんそんなの嘘だって分かってたけど、数で負けている私たちは仲間の負傷も多かったし、私はもう仲間が傷つくのは見たくなかった。
だから、もし私がそれを少しでも食い止められればって…今考えるとガキの考えだよね。』
その時の事を思い出したのか美佳の笑顔には曇りが見えた。
『んまぁ、それから色々あったけど、話し長くなるしまた今度ね。
ほら、起きて!!厠行って、歯磨いて、顔洗って来い!』
無理矢理明るい声を出す美佳に銀時が言うようにひとりで色んなものを抱えて来たんだろうと容易に想像できた。
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