頼れるユーリさん
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「そんなに似ているかな?」

「髪と目の色は確かにな。実直な騎士様と似ているなんて光栄だよ」

「そんな。僕はまだ騎士としては半人前だよ」

特に普通の人と変わった所は無いようだ。ユーリは男を観察しながら思った。
しかし、逆にそれは怪しくもある。なぜフレンが、「別の星から来た」なんていう怪しい話を信じてしまっているのだろう。
ユーリは不思議に思い、男の存在も気にせず尋ねてみた。

「ああ……えっと、なんて言ったらいいのかな」

どう説明すれば理解してもらえるのか。フレンは悩んだ。信じた理由はフィナという、異世界人の前例がいたからなのだが……それについての話も、ユーリにした事はなかった。

「それは俺も気になるな。俺が言う前に言い当てられちまったんだから」

「そうなのか?」

「ああ。いきなり別の星から来ました!て言って信じてくれるお人よしが、都合良くいるとは限らないだろ? どう説明したものか、考えてたらズバッとね」

「へ〜……」

思ったより、この男はマトモなようだ。ユーリは少しだけ警戒をほぐした。
フレンは難しい顔でなにやら思案していたが、腹が決まったのか顔を上げた。

「ユーリ。考えてみたけど、良い説明を思いつかない。とても現実離れした話になると思うけれど、聞いてくれ」

「あいよ」

「実は、フィナは異世界から来た子なんだ」

ユーリは遠慮無く変な顔をした。

「彼女はこの世界の物とは違う文字を操り、この世界とは違う地図を描いた」

「子供の空想じゃねーのか」

「規則性と複雑さから言っても、とても子供が考えるようなものじゃない。文字はきちんと言語としての機能を持っていたよ。地図のほうは分からないけれど」

「で、そっちのガイの方は?」

「彼が出現した時の様子から、そうじゃないかとあたりをつけた」

「フィナの事があったからか?」

「そうだ」

これだけでは証拠として弱い。それはフレンも分かっていた。
ガイは自分を信じてくれた彼に助け舟を出そうと、空にペンを走らせて見せた。

「文字が証拠になるってんなら俺も書いて見せるぜ? 俺の世界の言語はフォニック文字と古代イスパニア語、二種類あるからな」

「いや、いい」

ユーリが申し出を断ったのは、彼を信じたからではなかった。かといって、信用できないと判断したからでもなかった。
ユーリは黒い眼光を彼に向ける。

「異星人かどうかについては正直わかんねえ。お前は俺達に何を望んでる? 俺は、それでお前を信用するかどうか決める。協力するかどうかもな」

ガイは神妙な様子で黒い瞳を見返した。強い眼だ。
何故城に仕える騎士が、こんな下町の用心棒を頼ったのか。それが分かった気がした。

「俺はオールドラントに戻りたい。そのために力を貸して欲しい。そして、俺からはフィナ嬢を取り戻す手伝いができたら、と思ってる」
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