再会
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見つけた。良かった、無事だった!
フレンは嬉しさのあまり、自分に背を向けている彼女に抱きついた。
「フィナ! 無事だったんだね!」
ふに。
彼の手に、えもいえぬ柔い物が触れた。
何だろう?という疑問が頭をよぎる。元々、フィナの体は子供らしくふにふにと柔らかい。けれど、彼女を抱きしめる時、こんな感触がした事は無かった。
おかしいな、と思った次の瞬間、
「いやーー!!!」
腕を振り払い、フィナが立ち上がった。そして、背を向けたまま一目散にフレンから離れる。
その後ろ姿は、どう見てもフィナよりも大きい、年頃の女性のものだった。
「え、あ、あれ?」
彼女は別の木の陰に隠れると、ちらりとフレンの様子を窺った。
人違いと、女性が庇っている体の部位に気付いたフレンは、顔を瞬く間に赤く染めた。
「もももも申し訳ありません!! 初対面の女性に対して、なんて破廉恥な行為を……! たっ、大変失礼致しました!!」
うろたえるフレンの横で、ルークがどう説明したものかと頭を掻いた。
『フレン』は予想していたよりずっと若い男だった。ガイと同じくらいだろう。フィナがお父さんではなく保護者という呼び名に拘ったのも分かる気がする。爽やかな金髪碧眼で、青い鎧がとても似合う美丈夫だ。
もしかして。
ルークはピンと来た。フィナが彼を父親と呼ばれるのを嫌がったり、今の姿を彼に見られるのを怖がるのは……フィナが、彼の事を好きだからではないのか。
(男の俺から見ても二枚目だし……無理もないな)
とりあえず人違いではない事を伝えようとした、その時。再び頭痛がルークを襲った。
『余計な事は言うなよ』
(何……!?)
『このまま真実を伝えずにいるのだ。異界の騎士は愛娘が彼女だという事に気付かん。時の娘も、あの姿でいる以上、自ら正体を明かす事もあるまい』
(んなっ……! そんな事して何になるってんだ……!)
『こちらの主人公が黒髪ロングの美少女になり、止まっていた時間が進む。これは、この世界を救う事に繋がるのだ』
(だから、さっきっから訳の分からない事を……)
『お前達が理解できないのは当然だ。人間は進む時しか観測できない。時が戻ろうが、止まろうが、お前達には分からないのだ』
「ローレライの言うとおりです」
「えっ!?」
思念波での会話に、いきなり現実の台詞が割り込んだ。その言葉の主を探して首をまわすと、背後から緑青の影が襲い掛かった。