育メンの語らい
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辺りには、何の変哲も無い緑の草原が広がっていた。
フレンは目を瞬かせた。ここが、ガイの言っていたオールドラントという星なのだろうか。
視界にそう断言できるものは一つも無い。帝都のはずれ、と言われても信じてしまいそうだった。

「よかった! 俺が飛ばされた場所からそう遠くない。ここからなら、すぐにジェイドを見つけられるはずだ」

ガイが快活に笑った。

「ここが、オールドラントなのかい?」

「ああ。びっくりしたろ? あんまり変わりが無くて」

思っていた事を当てられ、フレンは思わず曖昧な笑みを返した。
二人はとりあえず移動を開始した。誘拐犯ジェイド一味(正確にはルークがリーダーなので、ルーク一行)の目的地は分かっていたので、方向さえ間違えなければ会えるだろうという目論見があったからだ。

「そのフィナ嬢とは長い付き合いなのか?」

移動中、二人は男同士ながら世間話に花を咲かせていた。

「いいや。彼女を保護してから、まだ一ヶ月くらいかな」

「そうだったのか。どうだい?子供の世話ってのは」

「大変な事は勿論あるけれど、楽しいよ。彼女は大人しい子だから、手もかからないし」

「そいつはいいな。俺も子供の世話は経験あるんだが、とんでもないやんちゃ坊主でなあ……」

「やっぱり、男の子は大変かい?」

「体力勝負だな。ヘタに体力があるもんだから、かんしゃく起こされるとこっちもボロボロになるよ。その点、女の子はいいな」

「女の子は口が立つというか、たまにどきっとするような事を言うよ。こちらが思っているより、色々考えているみたいだ」

「はは。小さくても人間だからな」

「本当にね。今は小さいけれど、いつか、この子も大きくなるんだなあと思うと感慨深いよ」

「いつか親の手を離れて行くと思うと、寂しくなるよな。実際はきっと嬉しいほうが大きいさ」

「そうだといいな」

穏やかに返しながら、フレンは心の中で切ないような寂しさを感じていた。自分は、いつまで彼女と一緒にいる事ができるのだろうか、と。
ある日突然、元の世界へ帰る方法を見つけて帰ってしまうかもしれない。その可能性を考えると、フィナと過ごす時間はいつも、奇跡の瞬間のように輝いて見えるのだった。
フレンは少し落ち込んでしまった気持ちを戻そうと、別の話題を提供すべく口を開いた。
その時、数人分の、重なった叫び声が聞こえた。そう遠くない場所のようだ。
二人は頷き合うと、声の聞こえた方向へ走った。
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