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机の横に、沢山の本が積み上げられていた。
『想いを伝える心理学』『女性の心を理解する為のヒント』『誠実恋愛読本』『この本を読んでみてください!三分後に彼女を落せます!』『真実の愛を胸に』……全て、恋愛ハウツー本だ。

「フレン……なあに、これ」

「ああ、少し勉強しようと思って」

彼は恥ずかしがるわけでもなく、キラキラと意欲の篭った表情でそう言った。

「本ばかりに頼るのはよくないけれど、知識は大事なものだからね。これで、女性の気持ちを理解できるようになってみせるよ」

「……なんのために?」

「黒髪の君……フィナのお母さんになる人を捕まえる為だよ!」

彼の瞳には、一点の曇りもなかった。


遡る事一週間とちょっと。
水をかぶると元の女子高生の姿、お湯をかぶると現在の子供の姿に変わってしまうという、どこかの漫画にありそうな秘密を持つ私は、義理の父親、フレン・シーフォの手助けをする為、大人の姿でギルド「凛々の明星」に参加した。
騎士団から魔物退治を下請けしている彼らの仲間になれば、めぐり巡って大好きな父の助けになると思ったからだ。
朝と夜は子供の姿でフレンと過ごし、昼間は大人の姿でギルドの一員として活動する―――
上手くいくかと思ったその生活は、大人の私とフレンが出会ってしまったことで一変した。
初対面で私に一目惚れ、次の日にはもう花束を持って告白。そして、次の日にはもう―――彼は私を追い掛け回す、恋の虜になってしまったのだった。
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