もえ
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「こういうゆったりした服は、リラックスできていいね。ありがとうソディア」
「いえ!! 滅相もありません!!」
ソディアが顔を赤くしながら直立不動で答えた。
それもそのはず。今日のフレンはいつもと違う。
いつものかっちりした鎧を脱いで、ソディアが「日頃お世話になっている礼に」と持ってきた浴衣に袖を通しているのだ。
白地に浅葱色の滝縞。シンプルながらも爽やかで、フレンにピッタリだ。普段隠れている胸元が露わになった所為で、首から上の日焼けが分かるようになってしまった。首の丁度真ん中辺りに色の境目があって、そこから下が白い。襟元から除く胸板も、普段籠手で隠れている腕も白い。何故かその白い肌を見ているとドキドキとした。別にフレンは綺麗なお姉さんじゃないのに。
ソディアも私と同じ心境なのか、赤い顔で目を逸らしてみたりジーッと見てみたりを繰り返している。
仲間がいた事にホッとして、もう一度フレンの浴衣姿を眺めた。お風呂で裸の付き合いをしているのに、この服の方がドキドキする。不思議な魅力のある衣装だ。
「どうかな? フィナ」
フレンがニッコリ笑って尋ねる。
格好いい……とはまた違う。かっこ良さなら鎧のほうが上だ。
可愛い、という訳でもないと思う。可愛さだったらユーリに無理やり付けられてたウサ耳の方がキュンとした。
これは……何だろう?
「よくわかんない」
「え!? そ、そう……」
「フィナに浴衣の魅力はまだ分からないのですね……」
何故かソディアも一緒になってシュンとしてしまった。
「で、でも好き」
慌ててフォローすると、ソディアの目が一番星のようにキラッと輝いた。
「そう。実はね、フィナ……」