リンクシステム
[ 56/83 ]
「小隊長の胸板っ……!」

「ソディアさん?」

「はっ! な、なんでもないわ、フィナ。では小隊長、私はこれで…… っ!?」

逃げるように踵を返しかけた彼女は、すぐ後ろに立っていたフレンに気付いて再びその場を飛び退いた。

「あ。すまないソディア。ついフィナと挟み撃ちに……」

「挟み撃ち!? 小隊長、一体何を狙っているのですか!?」

「いや、この魔導器の機能で……」

「どういう言い訳ですか!!」

彼女の言葉には、大分怒気が篭っている。動揺しているところに訳の分からない行動をされて、感情がかき乱されているんだろう。
でも、なぜだか私にはフレンの気持ちが分かった。ソディアの後ろ姿を見ていると、何故か「チャンスだ!」というような、変な高揚感が湧き上がってきて、無性に何かしなくてはいけない気持ちになるのだ。
彼女とフレンの言葉のキャッチボールが3回続いた後、ついに我慢の限界が来た。

「えーい!」

私は横から思い切り、ソディアの脚に抱きついた。普段フレンにやるような、容赦の無いやつだ。

「きゃっ!?」

突然脚を取られてしまった彼女は、バランスを崩して倒れそうにになる。

「フレン!」

「任せてくれ!」

すかさずフレンが彼女を抱きとめた。そして……

『共鳴術技!プリンセスホールド!!』

全ての乙女が羨む、完璧なお姫様だっこが完成した。流石、フレンはソディアを軽々持ち上げ、その表情には余裕が溢れている。あと十キロ重くても全然いけそうだ。

「やったねフレン!」

「ああ!」

謎の充足感が私達を包む。今の私とフレンは息がぴったり合っていた。言葉にしなくても、彼は私の望んでいる事をしてくれるのだ。
互いに笑顔を交わしていた私達だったが、すぐ近くに不穏な気配を感じて首を巡らせた。

「……セクハラです!!」

耳まで赤くしたソディアが、目を吊り上げて吠えた。


「……フィナ。この魔導器は欠陥品みたいだ。リタに返そう」

「……うん」

[#]
[*前ページ] [もくじへ戻る] [しおりを挟む]
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -