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「『共鳴をすると、互いの考えている事が伝わり合い、戦闘中の連携が容易になる』……へえ。便利な機能だね」

フレンが新型魔導器の説明書を見ながら目を輝かせた。二つで一セットの珍しい型のこれは、新作の発売記念?にリタから貰ったものだ。
戦闘に参加できない私には関係の無い話だと、「ふ〜ん」と適当に聞き流していたが、説明書から顔を上げたフレンの目は真っ直ぐに私を捉えていた。

「よし、早速やってみよう。フィナがマスターで、僕がスレーヴだよ」

言いながらユーリのつけているような、金の腕輪を私にはめた。ぱちんと金具をはめると、腕にぴったりになった。

「スレーヴっていうのは、マスターを守る係の人だよ。これで不測の事態にも即座に対応できるはずだ」

「不測の事態って?」

「たとえば、君が誰かに襲われそうになったときとか……こうやって共鳴していれば、すぐに君の盾になれるんだ」

「わ」

腕輪から、糸のような光が伸びた。その先には、フレンの腕にはまった、同じ金の腕輪があった。

「これが共鳴だよ。防犯のために、街に出るときは必ずするようにしよう」

「ふうん」

防御だけではなく、他にも敵を挟み撃ちにしての攻撃もスムーズにできるらしい。
結界の中じゃ、実際に役立つ事は無さそうだ。
そう思いながら金の腕輪を眺めていると、どこからともなく走り寄る足音が聞こえ、影が私に被さった。
何だろう。そう思って顔を上げる前に、フレンが機敏な動きで私の前に回りこんだ。

「危ない!」

「おはよう、フィナ……?」

見ると、そこにいたのはソディアだった。今日の彼女は非番で、いつもの鎧姿ではなかった。
なるほど。フレンは服装の所為でソディアを判別できなかったらしい。私に近付く見知らぬ人物に、思わず庇ってしまったのだろう。
だからソディアがフレンに抱きつくという珍しい事態になってしまったのだ。

「しょッ、しょうたいちょうっ!!?」

「なんだ、ソディアか」

彼女は顔を真っ赤にして飛び退いた。対してフレンは、聞き様によっては失礼な台詞を吐きながら胸をなでおろした。

「失礼致しました!! フィナに抱きつくつもりが、どうした事が照準が狂ってしまったようで……!」

「はは、君の過失ではないよ。実は今、新型魔導器を試していたんだ」

共鳴について説明すると、ソディアは「なるほど。それは素晴しい技術です!」とハキハキ答えながらも、まだ頬を赤くしていた。
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