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*by公共おトイレ

「おい」

「なんだい」

「いつまでそこに立ってるつもりだ」

「フィナが出てくるまでに決まっているだろう。トイレから出てきて僕がいなかったら、ビックリして泣き出してしまうかもしれない」

「トイレに行こうとした子供が、そっちで泣き出しそうになってるんだがな」

「え? どうして?」

「女子トイレの前に屈強な騎士が仁王立ちしてたら、そりゃ泣くだろ」

「そうか。何か事件があったのかと誤解されてしまうね。じゃあユーリ、代わりに……」

「断る」

「弱ったな……」

「そうじゃないだろ」

「え?」

「『そこを退く』っていう選択肢があるだろうが」

「フィナを置いて行くなんて僕には出来ない」

「離れたところから出口を見てればいいだろ!」

「その隙を突いて変質者が出たらどうするんだ」

「冷静になれよ。何処をどう見たって不審人物はお前以外いないぞ」

「確かに、下町では今だ騎士は信用ならない者だというイメージが強い。けれど僕は」

「今言いたいのはそういう事じゃねえ」

「きゅー」

「あっ、フィナ。良かった。あと5分遅かったら突撃しようと思っていたところだよ」

「…………」

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