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星喰みの脅威が去り、世界はそこそこ平和に過ごしていた。
私は相変わらず、フレンのところでお世話になっていた。世間的には騎士団長の義理の娘ということになっている。
そう。フレンはヨーデル陛下の勅命を受けて、ついに騎士団長に就任した。彼の理想を実現する為、毎日とても頑張っている。
うん、すごく頑張っているのだ。
騎士団の建て直し、ユニオンや評議会との交渉、魔物の討伐、悪化した治安の回復……
体力だけじゃない。精神力だって使う、大変な仕事だ。
いくら完璧超人な彼でも、こんなに沢山のことをこなしていたら体を壊してしまう。
何とか彼を助けることは出来ないだろうか。
そう考えた私は、ある決断をした。

「私も、凛々の明星に入れてください!」
「却下だ!!俺がフレンに殺される!」

サブリーダーにはバッサリだった。

「だよな、ボス」

「うん……僕も小さいけど、流石にフィナみたいな小さい子を入れる訳にはいかないよ」

私情たっぷりなユーリと違い、カロルは最もな理由で私の申し出を拒否した。
けれど、それくらい想定の範囲内だ。
私は井戸の近くまで行くと、水を一杯引き上げた。そして、不思議そうな顔で見つめる彼らの前で、それを頭から思いっきりかぶる。

「これくらい大きいなら、問題ないでしょ?」

振り向きながら言ってやると、二人は目を剥いて口をパクパクさせていた。
私は、高校生くらいの姿になっていた。普段は5歳くらいの見た目だけれど、水をかぶると本来の姿に戻るのだ。なぜか。
このことはフレンも知らない。知らせるつもりも無い。ただでさえ多忙な彼に、更なる心労を与える気は更々無い。
本当なら彼らにだって知られたくは無いが、ギルドに入って騎士団の手助けをする為だ。仕方が無い。ギルドに入りさえすれば、魔物の討伐や、民からの依頼解決をする事で、騎士団の仕事を減らす事ができるはず。

「剣は騎士団で習ったし、精霊術だってリタ師匠に習ってたの知ってるでしょ」

今の私なら全く問題ないはず。ユーリに詰め寄って「どう?」と聞くと、彼はほのかに顔を赤くして、

「いや、まあ、うん、いいんじゃないか?」
「え、ちょっとユーリ!?」

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