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……………どうして?
……君こそ、どうして僕の気持ちを分かってくれないんだい?
僕は君のことが心配で心配で堪らない。可能な限りの手段を講じるのは当然の事だろう?
本当なら、二十四時間ずーっと傍で守っていたいが……そういうわけにもいかないしね。僕だって、譲歩しているんだよ。
う〜ん……じゃあ、三時だけじゃなくて十時にもおやつの時間を作ってあげる。これでどうかな?
はは。分かっているよ。君はもう、子供じゃないんだね……。
ふふ。残念なんて思っていないよ。むしろ嬉しかったかな。……君を、他の男に渡さずに済む……ん? ああ、なんでもないよ。
でも、僕からすれば君はまだまだ子供だ。まだ、世の中の手酷さを知らない。君が不勉強な訳じゃない。それは、ある意味素晴しい事だと思うよ。それだけ、君の住んでいた世界は平和だったんだろう。
残念だけど、この世界は君の世界には及ばない。君の知らない怖い所、嫌な面が沢山あるんだ。だから、僕はそれらから君を守らなくてはならない。これは君の後見人である僕の責務だ。
分かったかい? なら――――
………。
君の目には、そう見えるんだね。
うん。やっぱり君は、僕が守らないと。
そんな綺麗な目をしていたら、危なっかしくて適わない。
君が何と言おうと、僕は妥協しないよ。全ては君の為だからね。
逃げる? 逃げたら騎士団を使って捕まえるよ。
はは。そうだね。職権乱用だ。でも背に腹は変えられないし。
うん? 僕は常に最悪の状況を想定しているよ。
え? 僕が一番危ないって? そうかな。僕は、君を一番に考えているだけなんだけどな。僕は君を……
……あのね、フィナ。僕はね、気付いたんだ。いくら人に称えられても、感謝されても、好意を寄せられても、それは大したことじゃないんだって。僕はそれより、君に笑ってもらえるほうが嬉しい。君に好きと言ってもらえたほうが幸せなんだ。人数なんて、関係ないんだよ。たった一人、君だけにそう言ってもらえれば。
……もう、意地悪だな、君は。そんな心にも無い事を言って。本気でそう言ってるのなら、城じゃなくて……もっと狭いところに閉じ込めるよ。人に会うのも許さない。君の知ってる人間が僕一人になれば、好きも嫌いも関係なくなるよね?
……フィナ、寒いの? 僕が温めてあげる。おいで。
そんな事言わずに、さあ!
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