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ルブラン小隊の所に行くなんて御免だ。ルブランさんも確かに真面目でいい人だったが、部下の質に雲泥の差がある。
フレンがいるだけじゃない。ソディアをはじめとした、私を気にかけてくれる優しい皆々がいるフレン小隊が、私は好きなのだ。

「フレン」

堪らずフレンの足に抱きついた。離れたくない。誰かが離そうとしたって、ずっと引っ付いていてやる。そんな気持ちで腕に力を込めた。
頭に、あの温かい手が触れた。
「大丈夫だよ」
そう言われたような気がした。
頭から手が離れる。彼を見上げると、真っ直ぐにルブラン小隊の騎士たちを見ていた。

「ソディア。フィナを頼む」
「はっ」

ソディアに抱き上げられ、強制的にフレンから引き剥がされた。私の全力も、彼女にかかれば赤子の手だった。剥がされた後も腕を振って足掻いて見せたが、「フィナ」とフレンから窘められてしまった。
このまま私を彼らに引き渡す気なのだろうか。嘘だ。彼はどんなことがあっても私を守ると約束してくれた。私の傍にいると言った。フレンが約束を破るはずが無い。

「あなた方の不満は最もだと思います」

ルブラン小隊の騎士たちに向き直り、彼は言った。
それを聞いた彼らは勝利を確信したのか、顔をにやけさせる。が、すぐに目を見開いて驚きの表情になった。どうしたのかとフレンに目を向けると、彼は抜き身の剣を彼らに向けていた。

「だが、ただ任せるだけでは我々も納得できない。彼女を渡すのは、私を倒し、あなた方の力を証明してからだ」

ウオオ!フレン小隊からときの声が上がった。すぐ上から「流石小隊長です!!」とソディアの感激の声が飛び出し、耳がきーんとした。
大音響にくらくらしながら必死でフレンの姿を捉えた。青い鎧の上で、赤地に金の刺繍が入った二又のマントが揺れている。
おっきい背中。
トクトクと、鼓動が走り始めていた。

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