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「フレン小隊で預かるというのもおかしいであーる!」

「お陰で私達は全然応援してもらえないのだ!不公平なのだ!!」

彼の論は同じルブラン小隊の人々の賛同を呼び、あっという間にルブラン小隊対フレン小隊の図が出来上がった。

「フィナは我等フレン小隊の所属だ! マントの色を見れば分かるだろう!」
「騎士でもない子供に所属も何も無いだろう! 騎士団で保護するというなら、我等ルブラン小隊が保護しても問題ないはずだ!」
「フィナをシゾンタニアで発見したのは我々だ!」
「騎士団に早い者勝ちなんて規律はないのだ!!」
「すぐ子供を怒鳴りつけるような大人気ない者がいる隊に、果たして務まりますかな!」
「大人気ないとはなんであーる!!」

喧々ごうごうと怒声が飛び交う。冷静に見えたソディアも、一度熱くなると止まらなくなってしまう性格だったらしい。
場を収めるものは誰もおらず、皆口々に私の保護権を主張している。

頭の中に竹内まりあが流れた。あの、一人の女性のために二人の男性が争うという、ロマンティックな歌詞の歌だ。
想像するだけならいい気分になれるシチュエーションだが、実際に自分が争いの原因になると、とんでもなく居た堪れない気分だった。
現実には、あんなゆったりしたメロディは合わない。エレキギターとオーケストラヒットとドラムロールが忙しなく追いかけ合って私を急かすのだ。
なんとかしろ、お前が原因だろう、と。
だが、どうすればこの争いを止められるのか、全く思い浮かばない。
どうしようもできない状況への怯えと、何も出来ない自分への失望、どうしてこうなったのか分からない混乱で、私の頭はいっぱいだった。

「何ごとだ!」

凛とした声が怒号の中に分け入った。フレンだ。フレンが助けに来てくれた。
彼は状況を一瞥すると、ソディアに説明を求めた。

「彼らが、フィナをこの場に連れてくるのは不適当だと……そして、我々ではなく、ルブラン小隊で彼女を保護すべきだとフィナの身柄を要求してきたのです」

「なんだって……!」

フレンの顔色が変わった。フレンは私を連れてきた張本人だ。責任を感じているんだろう。厳しい表情で黙り込んだ。
このまま、私は訓練場出入り禁止になってしまうのだろうか。そして、フレン小隊ではなくルブラン小隊の元に行くことになる。
体に怖気が走った。ぞわぞわとして気分が悪い。

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