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ネタは上がっているのに、それでも変わらず私のネガティブストッパーは発動した。
もしかしたら、別れた彼女なのかもしれない。言いだしっぺが本人じゃなくて他の人というのが、なんとなくそんな感じだ。それに、ただの知り合いや友達という線だって薄くない。
私は一番傷が浅くて済む、最後の説を主張することにした。

「ユーリさんって、フレンの友達?」

「ん、そうだよ」

やっぱりそうだった。

「下町で一緒に育った、幼馴染なんだ」

腐れ縁、腐れ縁、浅倉南ちゃんじゃない。違う。甲子園が決まっても告白したりしない。
これ以上この話を続けていては、精神に深刻なダメージを与える決定的発言が出るのも時間の問題だ。もちろん、そんな発言を聞く勇気は私に無く、話題をお鍋の中身に移したのだった。


「すごい……」

口を付いて出たのは驚嘆の言葉だった。
馬の上から見上げる、帝都ザーフィアス。都と言うだけあって、それはとても大きかった。
一番下にロンドンの街を思わせる茶色の背の高い建物がぎっしりと並び、少し上のところにアイボリーの高級そうな建物たちと緑が見える。その上にお城が乗っかり、更にその上には剣の刀身のような形をした、細長い塔が立っていた。
そして、何より目立つのは輪っかだった。剣を中心に、大きな光の輪が重なり、街を囲んでいる。

「あれが結界魔導器だよ。街を、魔物から守ってくれている」

「あれが……」

地球ではあり得ない物を見て、改めて感じた。
私は、魔法や魔物や魔導器が存在する、異世界に来たんだと。
城の敷地内にある馬屋に馬をつなぎ、その場で整列して話をした後、隊は解散となった。

「小隊長。フィナは私が預かりましょうか?」

ソディアの提案にフレンは少し考えたが、「いや、私が連れて行く」と断った。
フレンに連れられ、お城の中へ足を踏み入れた。
生まれて初めて入る西洋風のお城。高い天井や白亜の壁に圧倒される。
きょろきょろと落ち着かない私の手を握り、フレンは迷うことなく長い廊下を進む。途中、すれ違う騎士に奇異の目を向けられたが、フレンは全く気にしていないようだった。

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