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「フレンさん」

「なんだい?」

「分からないことがたくさんあるので、訊いていいですか?」

「もちろん。なんでも答えられるよう努力するよ。」

私は頭に浮かんだ疑問を一つずつ尋ねていった。
彼は私の問に、懇切丁寧、且つ子供に優しい言葉で説明してくれた。
さっき彼から出てきた、『結界』という言葉。これは、『結界魔導器』という装置から作られ、街を魔物から守ってくれる、人々の生活に無くてはならないものらしい。

「結界魔導器……聞いたことないかい?」

「無いです」

「そうか……」

私の返答に、彼は深刻な顔をした。それほど信じられないことなのだろう。
次に、ソディアが操っていた光。
これは『武醒魔導器』の力で、エアルという空中に漂っている自然の力を変換し、あのように光や火、水を操る術にしているのだそうだ。

「フレンさんにもできるの?」

「できるよ」

すごい。まるで魔法みたいだ。
感嘆して彼を見上げると、くすぐったそうな笑みが返ってきた。彼は本当に、真摯に答えてくれる。
私の中で彼に対する信頼はとても高まっていた。そして、この世界に魔法のような力が存在する事。それがとても嬉しくて、つい、口が滑った。

「じゃあ、その力で子供になったり大人になったり、いろんな世界に行けたりしますか?」

「フィナは早く大人になりたいのかい?」

厳密には違うが、頷いた。彼にどれだけ話してよいのか、まだ判断が付かずにいた。全てを正直に話しても、彼なら馬鹿にせず、真剣に聞いてくれるに違いない。けれど、変な子だと思われるのも嫌だった。
彼は「う〜ん」と少し唸った後、

「ごめんね。それは僕にもわからない。でも、フィナが大人になりたいという気持ちを持ち続けていれば、きっとなれるよ」

煙にまかれた気がした。時間さえたてば皆嫌でも大人になってしまうだろうに。気持ちを持ち続けていて何になるのだろう。そう思って彼を見たが、その目はとても真剣だった。

「さあ、もうすぐ朝ごはんができるよ。大きくなるためには、たくさんご飯を食べないとね」

朝食を済ませた私たちは、早々にテントを片付け出発した。

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