□エピローグ

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食堂でのランチを終え、フレンと移動を開始しようとした時だった。
その日に限って、フレンが仕事の話で呼び止められてしまった。最初は黙って、横に立って話が終わるのを待っていた。けれど思いのほか話は長く、そうこうしているうちに私と眠気との戦闘も始まってしまった。私の不機嫌を察知した彼は、「先に行ってていいよ」と私を単身中庭へと送り出した。
早く横になって眠りたかった私には御の字で、急ぎ足で中庭へ向かった。
その途中、若草色後ろ姿が見えた。

「……ヨーデルさん?」

彼はいつかと同じ、キルサンタスの通路へと曲がり、姿が見えなくなった。
もしかして、あの通路の先に彼の部屋があるのだろうか。
少し興味が湧き、彼の後を追いかけて走った。

「ヨーデルさん! ………え?」

どきり、と心臓が大きく跳ねた。
角を曲がったと同時に、信じられない光景が目に飛び込んだのだ。
暗い色の、レインコートのようなフードのついた服の男。そのフードの下には赤く光るまあるい目。まるで悪魔のようないでたちの男達が、ヨーデルを囲んでいる。視線を彼らの手元に滑らせると、そこには鋭利に光る、カギ爪のような武器。

「ひっ……!」

私の悲鳴に気付き、彼らが一斉にこちらを向いた。

「フィナ! 駄目です、逃げ……」

血相を変えたヨーデルが叫ぶ。
けれど、最後の言葉を聞き終える前に、私の視界は真っ黒になった。



Continued on the tales of ...

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