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「恐らくこの部屋だ。最近、大規模な改装が行われたそうなんだ」
「なるほど……確かに子供部屋っぽいな。よっと」
「ユーリ! 無茶は……」
「無茶じゃねーよ。見張りの位置は確認したろ? ここは見えねえって。おじゃましまーす……」
「ユーリ!! 様子を見るだけのハズだろう! これじゃあ、住居不法侵入じゃないか!」
「目標発見っと」
「ユーリ。早く降りてくれ。上れない」
「へいへい」
「……広い部屋だな」
「一応、歓迎されてるみたいだな」
「そうか。良かった。……フィナは?」
「こっちのベッドだ」
「フィナ! フィナ……良かった……」
「安心するのはまだ早いぜ。目、腫れてるだろ」
「本当だ……まさか、体罰!?」
「うぉっ、いきなり服を脱がしに掛かるこたねーだろ!」
「でん部が赤くなってる……まさか、本当に虐待を……」
「なあ、何で真っ先にパンツを……」
「お尻ぺんぺんは典型的な体罰だろう」
「あー、まあ、そうか。そうだな」
「フィナ……可哀想に……辛かったろうね」
「寝ている間にパンツを引き摺り下ろされるのも中々辛いと思うぞ」
「僕は……なんて無力なんだ。君を守ると約束したのに、君を泣かせてしまった」
「なら、責任とって連れ帰れよ。そんで、二度とキュモールなんかに渡すな」
「それはできない」
「あ?」
「ここでフィナを連れ帰れば、屋敷内に不法侵入した事がばれてしまう。それはこちらの不祥事になり、フィナの親権について不利になる可能性がある」
「けど、ここに長く置いておいたら、新しい環境に適応したとみなされて更に不利になるんだろ」
「……ああ」
「なら、迷う事は無いだろうが。お前はフィナよりも、法を守る方が大事なのか?」
「それは……どちらも大切なものだ。比べられるようなものじゃない」
「……俺には分からねえ」
「ユーリ」
「先帰るぜ」
「手段は一つじゃない。僕には、僕なりのやり方がある」
「……」
「僕は、まだ諦めたわけじゃないよ」