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short
story
0419 ティキラビ
セックスの最中に少年がオレを呼ぶ。
それだけで十分だった。
【愛の呼び声】
「…ぁ、ティ、キィ…ッ!ティキ…ティ…ヒッ!」
もっと、おくに、いれて、いく。
様々な破廉恥な言葉を教え込んだ。
その中でも、一番エクスタシーを感じるのは、「名前」だった。
俺の。俺の名前を呼ぶラビの切羽詰まった声。
どんな時でも場所でもセックスの最中は無意識に名前を呼びたがった。
怯えるようにキツく目を閉じて。
暗闇の中でオレを探す。
そのたびの俺は際限なく、気絶するぐらい激しくラビを蹂躙しつくしていた。
もっと求めて欲しかった。だからほかに言葉なんかいらないと思っていたんだ。
なのに今、我慢する彼の唇から漏れるのは荒れた息一つ。
膝を肩に担いで深く挿入をして、幾ら抉ろうとも、愛しい名前が零れない。
オレを見ない。
「…んッ‥ひ、ぁ、ァア…!」
なんて無知だったのだろうか。彼の言葉に耳を貸す事もしなかったなんて。
寂しかった?切なかった?それとももっと、オレには理解出来ない感情になぶられていたのか?
幸せを、盲目的に捉えすぎていて省みることを知らなかった、ただ一つの掛け違いから、失おうとしているのは確かだった。
お前は、こんなに不安だったのに
見えない振りをしていたんだな。
幸せと思い込むことでオレの不安に蓋をしていたから。
独りよがりだったんだ。所詮。
言葉がいらないなんて嘘だ。
ラビのものを酷く扱って射精させる。
むなしさを伴いつつも続くセックスは気持ちよい。
時間がたてば、解決しないだろうか。
また名前を呼んで。
今度は必ず呼び返すから。
「ハァ…ハァ…ッ」
「……まだだよ」
間隔をあけずに再開する。
快楽がなだれ込む。
どこかで紛らわすことが出来ないことを知りながら。
些細な組み違いが、いつか道を分かとうとしていた。
愛してる。
今だけじゃない。
もうずっと前から、愛していた。
愛しているんだ、
オレに、まだお前の名前を呼ぶチャンスを、ちょうだい。
この行為を、愛にさせて。
〆
:::追記
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