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short
story
0418 コムイとラビ
「ラビは、変わったよね」
コムイがいった。
エベレストの山ほど積み上がった書類に、ひたすら大きな印鑑をおし続けながら。話している暇があったら、仕事してくださいと以前リーバーに言われているところを見たことがあるが、コムイは器用だからどちらも同時にできるスキルを取得したようだ。
ラビは感心しながらも、そうか?と首をかしげる。
「うん、すごくいい感じだよ」
むふふ、と含み笑いをしながら。
なんで、と問う前にコムイが続けた。
「恋でもした?」
「なに言っちゃってるんさ」
間髪いけずに答えたら、コムイはさらに楽しそうに笑った。
「ホントにしてないの?」
「そんな暇ないだろ。オレだってしたいさ」
「うそぉ。ラビは本当嘘つき」
「恋してもいいなら、暇くれない?」
「ぅ、それとこれとは話は別」
ぶるぶる首を横にふりながらコムイが一段落ついたのか書類から顔をあげる。
コーヒー飲もうと立ち上がってポットを取り出した。
オレものむ、とラビが手をあげる。
「いいよ。但し白状したらね」
にこぉ、コムイがにやけた顔をして振り返った。
「何を白状すんのさ?」
「誰が好きなんだい?」
「だーかーらぁー、」
げんなりしたラビの言葉を、コムイが遮った。
「図星さされて、ばか正直に顔にでる人間もいるけど君は決してそんな若くない。むしろ平然と、自然に、答えてくるだろうとは予想してた」
大きい白いマグカップに注ぎおわると口につけた。
ラビのぶんは用意してくれなかったようだ。
「でもねぇ、舐めちゃいけないよ、大人を。とっさの対応以外もみてるもんなんだ」
コムイがコーヒーをずびずびいいながら飲んだ。まったく大人な仕草じゃないくせに。
「普段のラビは、恋した乙女みたいだよ!素晴らしいじゃない!」
ただし 相手はリナリー以外の場合!コムイは念押ししながらも、楽しそうだった。
:::追記
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