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story

0414 おとぎ話を貴方に



「『灰かぶり猫』って知ってる?」

 ラビが、古書に半分顔を隠してティキに視線を向けた。

「知らない」

 ティキが、囚人のカードに視線を向けたまま静かにこたえる。
 興味がないのか、そのまま視線を上げない。

「だよなあー、ねえ、聞いて聞いて」

 ラビが無邪気にぱって笑った。
 ティキは、その様子にカードを内ポケットに滑らせやっと顔をあげる。
 穏やかな顔で「なにそれ?」と聞き返す。
 ラビが無邪気になる。それだけでティキがラビの予想通りに聞き返す価値がある。たとえ自分が興味なくても。

「んとなー、これ凄い話なんさ。最初に主人公の女の子が、ある女と手を組んで継母を陥れるんさ。そしたら同士だった女が継母になった。でも、継母になった女が主人公を裏切った。それに絶望しながらも教職者のいない主人公は屈辱に耐える。
ある日町中でお祭りがおこなわれることになった。
しかし主人公は、継母と継母の娘たちに仕事を巻かされて参加できない。大きな絶望感に苛まれる主人公だが、それをみていた魔法使いが助けてくれることに。しかし助ける代わりに条件があった。時間制限だ。12時までに帰ってこなければまたみずぼらしい生活に戻ってしまう。それをこの王子までも閲覧にくる華やかな祭りで披露するにはヒドク罵倒されかねないから早めに帰ってくるように、と。主人公は了承して祭に参加する。主人公は長年辛い仕事に仕えていたので十分に楽しんだ。なんとその姿を王子様がみていてくれたんさ。
主人公と王子様は一目で惹かれあった。楽しいひと時を過ごすが主人公には気がかりがあった。時間だ。時間が差し迫り、主人公は泣く泣くその場をあとにする。王子がそれをひきとめるが、主人公は本来のみずぼらい姿を見せられるわけもなくその場を後にする。その時主人公はうっかり靴を落としてしまう。主人公に惚れ切った王子はそれをもとに探し出すことにする。国民中からさがすのは至難のわざだったが王子は一人一人確かめあって、ついにみつけだす。そして主人公は王妃に迎えられることとなる。今度は継母が屈辱的な思いをして物語は終わり」

 ラビは概要を話おえると、ティキを覗くように見た。

「これ、すごくね?」





:::追記




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