dream | ナノ

土曜日、休日。
………………暇。
平日は顔が青冷めるくらい気分悪いのに、休日となると凄い元気、という人がたまに居るが私もそんな感じだ。
平日はかなりダルいが、土日祝日は一人で買い物行きたい衝動に駆られるほどテンションが上がる。
一人というところがミソだ、誰かと一緒にどこか行くほどのテンションではないのがじつに私らしい。

「あー…なんか面白いこと転がってないかな…」

そんなテンションを内心引きずりながら、見た目ではいつも通りのダルい歩き方で私は街を歩いていた。
私あれなんだ、どこかの誰かさんみたいに心を閉ざすカッコワライ、とかやんなくても感情がダルさしか表に出ない。
内心で大騒ぎするか一人で爆笑することの方が多いためか、テンションが上がってても周りに誰かいる時表情に出ないのは少しばかり不便なときがある。
楽しい雰囲気の時に水を注しちゃうことが多いんだよね……かなりの不意討ちがなければ表にでない自分のテンション、我ながら謎である。
最近は規格外なこと多いからそんなでもないけど。
改善してきてると思いたい。

「お、公園発見」

だらだらとどうでも良いことを考えてたら結構広めの殺風景な公園を見つけた。
街を歩いていたはずなのにいつの間に公園があるような簡素な所を歩いてたんだ自分…ぼんやりするのも大概に、か。面倒い。

こちらの世界に来て二週間も経っていない今、周辺の地理が不明なため私は氷帝と自宅の行き来しかしていなかった。が、最近は流石にそれじゃあ窮屈に感じてきていた。
自宅と学校にしか行かないってそれどんな箱入り娘……てか引き籠りでしかない。
私は勉強が嫌いだ。
人は好きだし三人くらいまでなら平気だが、大人数の人付き合いも嫌いである。
イコールして、昔から学校という施設事態あまり好きじゃなかった。
最終学歴が高卒だったため学校に通わなくなって数年経っていたが、再び学校に通うようになった今感じるのはやっぱり積もり積もった不満。
昔からある苦手意識は早々無くなるわけがないし、今回の場合中学校レベルの問題は再勉強する気にもならない、簡単すぎるから。
行けば暇潰し程度にはなるし、今のところ不満はない、けれど。
私は自分でも呆れるほど、どうしようもない気分屋だ。
好きな人も気分で嫌いになるし、また違う日には好きになってるし、味覚だって日によって好き嫌いが変わる。
つまり、今は大丈夫でも今後もそうだと言い切れない。
まったく面倒な性格だけれど、今さら治らないというのはこの二十数年のうちに痛いほど実感してるので諦めている。
仕事はお金を貰うのだから猫でもなんでも被って我慢できていたけど今は違うし。
まあそういう理由があるから、学校行きたくないときの保険として地理の確認をしてるわけである。
不真面目極まりない。

「テニスコートはっけーん」

この世界ならあるかなーと思ってたけど、やっぱりあった。
元の世界だったら、私の自宅周辺には絶対に見ることのなかったストリートテニスコート。
やっぱ普通の公園じゃなかったか、遊具ないからおかしいと思った。

「……頑張ってんねえ」

汗だくになりながら、それでも楽しそうにラケットを振っている数人をぼんやり眺める。
基本的に土曜日って午後の部活ないのかな…そこまでは縛んないのか。
テニスを始めたばかりなのか、辿々しくラリーを続ける数人を見てなんだか胸がほっこりした。
好きなことを一生懸命頑張ってる、微笑ましいじゃないか。
私テニスセンスは壊滅的だから内心出来る人って皆尊敬するわ、体育の時しかやったことないけど思った場所に球を打てた試しがない。
二回ラリーが続けば良い方だった、私と組んだ奴可哀想だったなあれ。

「……あのー」

「ん?」

「テニス、好きなんですか?」

「……は?いや、まあ…嫌いではないです…けど」

ボーッと突っ立ったままテニスコートを眺めてたら、いつの間に居たのか女の子に声を掛けられた。
え……誰?

「またまたー、好きなんですよね?ここで見てるくらいだしぃ」

…なにこの子。
しぃ?…C?彼等の同類ですか?

「いや…たまたま見付けただけだし、ボーとしてただけです」

「えー?本当ですかぁ?」

何が言いたいのこの子。
ヤベ、ニヤけそう。

「いや本当に…」

「もしかしてぇ、誰か来るかもーなんて思って見てたんじゃないんですかぁ?」

「は?」

……なんだコイツ。
ダメだこの子の思考回路どうなってんだ。
なんか面倒そうな子だな…制服着てるし中学生だよね、化粧濃くね?
無理してます感が半端ない、大人になりゃ嫌でも化粧しなきゃいけないお肌の曲がり角がくるんだから中学生の内はスッピンにしときなよ、素晴らしいぞ中学生のハリ。
今関係ないけど若返って素直に感動したのは肌の質感だったんだぞ私、スッピンでいられる環境には感謝したんだぞ私。
本当に関係ないな。
まあとりあえず……逃げよう。

「いえ…用事あるので失礼しま…」

「えー!……逃げんの?」

急に声のトーンが変わったその子に切り替え半端ねえと内心感動しつつ、聞こえないフリをして足を動かした。
なんなんだあの子、急に声掛けてきて微妙にトゲがあったぞ、なんなんだあの子面白い。
思春期なのかな…変なナンパされたなあ。

「…あ、もしかして夢小説的展開か」

トリップ前はテニプリの夢小説よく読んでたからなあ、確かあんな無茶な絡み方は逆ハー狙いとかそんなあれだった気がする。
あ、てか今気付いたけど私のこの現状トリップとかまんまじゃん、気付かないとか自分乙!
自分がヒロインとか有り得ないけどな、ダルいし。

「…喉乾いた」

さっき久し振りに少しだけ猫被ったからだろうか、なんか異様に喉が乾いた。
それにしても素出さなくて良かった、学校のテンションだったらなんだテメェシバくぞくらい言ってただろうけどちょっと機嫌良くてよかった、休日万歳。
まあ普段ダルい私だって外なら知らない人には素は見せないよ、反感持たれんのは必須だし何より大人しくしてたほうが楽だ。
そういやあの子どこの誰で何が目的だったんだろ、セーラー着てたな……生憎制服で学校がわかるという芸当は持ち合わせてないからわからない。
昔から興味ないことは覚えないんだ、面倒だから。

「自販機はっけーん」

ストテニあんだからあるかなーとキョロキョロしてたら予想的中。
公園って普通に自販機あるもんなのかな?
私の地元では公園近くのお好み焼き屋にはあったのを覚えてる。
でもここは公園の敷地内…そんなもんかね。
なに飲むかなーと自販機を眺めながら足を進める。
さっきの子とまた出くわしたら面倒だから飲んだらすぐ移動しよう、そうしよう。
あと数歩で自販機に着くというところで財布を出すため鞄に目を向けた。

「…あ」

「ん?」

財布を出して顔を上げれば、すぐそこに自販機と……帽子を被ったジャージ姿のオチビさん。

「……お先どうぞ」

「…ども」

ペコリと顔に影を作る程度に会釈したその子は肩にテニスラケットを背負っていた。
非常に見覚えがありすぎる。
…え、ニヤけそうなんだけど。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -