dream | ナノ


「え、自分なにしてん」

「なにやあらへん」

「え、意味わからんわ」

下校しようとグラウンドを歩いていれば、いきなり進路に立ち塞がった幼馴染みにビックリして足を止めた。
当たり前だがまだまだ陽は高く、部活が終わる時間帯ではまったくない。
普段なら目の前の彼もテニスコートで汗水垂らしてラケットを振ってるはずである。
その証拠に、着てるのは制服やなくて黄色が眩しいレギュラージャージ。
え?マヤカシ?……ってなんでやねん!
こないマヤカシ見てもうたら末期やーゆうてまた蔵先輩らにおちょくられるわ!
……うん。
自分の冴えないツッコミにユウジ先輩が恋しくなった。

「どこ行く気や」

「どこて…友達と待ち合わせして遊ぼう思てんけど」

「男やろ」

「はあ?」

「そんなん俺が許すはず無いやろボケ」

「はあ?」

他校の友達と街中で遊ぶ気満々だったのになんとなく気分が下降した。
なんで光の許可貰わなあかんの。
てかボケてなんやねん。

「男も居るけど女子のが多いわ。てかなんやねん光、なんで知っとんの」

「電話しとんの聞こえたわ」

「盗み聞きやん、趣味悪いなあ。それよりも早よ部活戻りー。蔵先輩の毒手喰らうで」

「あんなん信じとんの金ちゃんだけやろ。話逸らすんや無い」

「うっといわー」

「犯すど」

「すんませんっした!」

真顔で言われたから反射的に土下座した。
ふくらはぎとスカートがグラウンドの砂で汚れたけど気にしない。
え、ホンマなんなん?

「急にどないしてん、うちなんかした?」

「今からや」

「んな予定ないで」

「あるやろ、ホンマなんでわからんねやボケ、カス、ドアホ、ボケナス」

「ええ加減にせんといてまうどゴラァ」

「犯すで」

「ホンマなんやの…」

光の不可解な行動の意味が全くわからない。
いや、少しは理解できるけどちょっと心配しすぎとちゃうやろか。

「過保護なんわええけどな、アンタいきすぎや。そーゆーんは彼女にだけやらなアカンもんやで」

「彼女になればええやろ」

「ならんわボケェ」

中学生の分際で付き合う付き合わへんなんてやってられんわ。
ノリで言った言葉に振り回されるこっちの身にもなってみろ、と毎回言われるたびに思う。
ドラマやあるまいし、幼馴染みと付き合うなんて笑えへん。
別れたあとが怖いやろ。
……この考えもドラマみたいやな…幼馴染みって王道突っ走りすぎや。

「あっ……これ遅刻やんか光のど阿呆!ほなさいなら!」

「行かせん」

「グエッ!」

「色っぽい声でぇへんのか」

「んなもん求めるんやない!」

「求めとらんわ」

襟首を捕まれて首が絞まった。
ああ…絶対あとですっぽんかましたて責められる電話くる…。

「諦めて今からマネージャーやるんやな」

「なんでウチが…」

「部長の毒手喰らいたいんか」

「ウチ金ちゃんや無いから騙されへんで?」

やっぱ光の考えてることはいまいちわからんわ。


20120219



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