dream | ナノ
ふらり、と眩暈が起きた気がして顔の前に手を添えたら、目の前に居た男が雰囲気的に上機嫌な感じで私の肩に手を添えてきた。
人肌は何となく安心させられる気持ちになるけれど、その人肌を与えてくれた奴があまり思わしくない奴なので私の眉間にはそれはもうやばいだろうというくらいにシワがあからさまに浮き出てしまった。
気遣いでやってくれていると思うと申し訳なさが滲んでくるのだが、この男の場合何か裏がありそうな気がして気が抜けない。
「大丈夫ですか?」
「ん、ごめん…。連日続いた徹夜が祟ったわ」
「あ、じゃあそれは徹夜の不快感から来たシワなんですね。よかった僕嫌われてるんじゃないかと思ってハラハラしました」
「うん、あながち間違いじゃないから勘違いしないように」
そう言った瞬間に肩を支えられていた骸の手に力が入って、眉間のシワ+しかめ面という最悪パンチな顔をしてしまい自分女終わってる…と心中嘆いた。
もしイヤなことがあってもやばい顔をしないくらいに乙女な心を取り戻さなくては!
骸の存在を一瞬忘れた。
「クフフ、良いですねそのいっそ清々しいまでの放置プレイは」
「キモ」
「そんなに嫌がらないでください、その顔もまた良いですけど」
「嫌がられて嬉しい?嬉しいのか?ていうか肩もう良いです、ありがとうございました離せ」
「君はどんな顔でも魅力的ですよ、名前」
「聞けよ」
キザったらしいセリフにまた違う意味での目眩が起こった気がしたけどそこはまあ気づかないフリだ。
だってヤだもん。そんなの自分が認めない。
「少しは素直になるのも良いと思いますよ」
なるわけないじゃない、バカ。
触れ合う体温
(流されそうだけど、とどまってみせるわ)
2007..