結局、廊下に現れた人影は幽霊なんかじゃなくて只の警備員さんでした。警備員さんに教室から追い出された私達は只今校門前。てっきり職員室に連れて行かれるものと思っていたので拍子抜けしました。そんな私達の気配を感じ取ったのか警備員さんは「今日だけだからな」と言って学校に戻って行きます。……警備員さんまじ天使!おかげで私の未来は安泰です。



「ちぇっ!もう少し続けたかったのになー」

「どっか公園でも行って続きする?」

「帰れ」

「あはは!お化けより白亜の顔のほうが怖いや!」

「何とでも言いなさい」



私は帰るから、そう告げれば一気に上がるブーイング。君達は私にどうして欲しいんですか。まぁ集団心理とは不思議なもので、一人が帰ると言えば次々に「じゃあ、私も…」と言い出し、結局この場で別れる事になりました。最初からそうしていればいいものを。



「じゃあまたね白亜!」

「また学校で!」

「ええ、車に気をつけて帰って下さいね」

「白亜は痴漢に気をつけてね!」

「いっそ轢かれてしまえばいいのに」



「ひどい!」と言う声をBGMに私は曲がり角を曲がりました。私は電車通学なので、駅に向かわなければなりません。携帯で時間を確認、すればもうすぐ日付が変わりそうな時間。……終電を逃したら泊めてもらう事にしましょう。それにしても、こんなに時間が過ぎているとは、帰ったら帰ったで親に怒られてしまいますね。思わず、はぁ…と溜め息が零れました。幸せさんさようなら。君の死は無駄にしない。そこでふと気がつきました。何時もより自分の影が濃い事に。と言うより、周りが明るい事に。



「嗚呼、今日は満月だったのですね」



視線を上げれば驚くほど大きな月が見えました。何故今まで気づかなかったのか。まるで漫画やアニメのように大きな月に、思わず地球の心配をしてしまいます。ぶつかって地球滅亡とか笑えない。只でさえ異常気象や、震災などが続いて大変だと言うのに。これで月が赤くでもなったら本気で人類滅亡のシナリオが浮かんでしまいます。



「え、嘘……あ、か」



嗚呼、不吉な事は考えない方がいいらしい。だんだんと月が黄色から橙へ。どんどん赤へと近づいていきます。無意識にジリ…と後退りしていました。月から逃げれるはずがないのに。恐怖により固まってしまった視線の先ではどんどん月が赤くなっていきます。どうせなら日食とかの方が見たかったです。




そのまま視界は赤の飲まれて

(意識は、)(暗闇へと堕ちていく)







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