少女は最近、奇妙な夢を見続けていました。決まって同じ場所、同じ登場人物から始まる変な夢でした。その登場人物には少女も含まれています。と言うより、登場人物の身体に少女が入っていると言ったほうが正しいのかも知れません。そこでの少女は小さな子供です。東洋人ではあり得ない、真っ白な肌と、真っ白な髪の小さな幼児です。 「今日の実験はなんだったかしら?」 「本日は耐久性と自己治癒力の計測です」 「じゃあまだやってなかった感電実験をしましょう。最初からフルパワーで構わないわ。どうせ死なないんだし」 「了解しました」 「あぁ、ついでに毒の耐性も確かめしょ。レベル5共の手配よろしく」 「はい」 頭上で交わされる彼等のやり取りも大分聞き慣れたと少女は言います。毎回違う会話の内容。共通しているのは、実験と言う言葉と、その実験の対象が、少女が入っている幼児ということだけです。少女以外の登場人物は決まってこの二人でした。レンズの厚い眼鏡をかけた白衣の男性と、同じく白衣の長い黒髪の女性。ほとんどがモノクロで構成されたこの空間で、彼女の唇の真っ赤なルージュが不気味に弧を描きます。 「さぁ、行くわよアルファ」 『全てはオメガになるために』 この言葉でやっと少女は夢から目覚めます。それはその夢を見始めてから99日目の朝の出来事でした。少女は100日目の朝を無事に迎えらたのでしょうか。それとも………………。 「その後の少女の運命を知る者は誰もいませんでした。めでたしめでたし」 「いやいや、めでたくないし」 「つかそれ怪談話じゃないよね?」 「どっちかって言うと世にも奇妙な物語?」 「煩いですよ。なんでもいいから語れって言ったのはそっちでしょう」 そもそも夜、学校に集まって怪談話とか、どこの厨二病ですか。病院が来い。高3にもなって恥ずかしい。いくら内定決まったからって、問題起こしたら取り消される事だってあるかもしれないんですよ。おわかり?しかも強制参加させられたと言うのにこの仕打ち。……泣いていいですか?むしろ泣かすぞ。「次私ねぇ!」って、まだやる気ですか。白亜さんは一刻も早くお家に帰りたいんですが。嗚呼、でも例の夢を見る事がないならこのままでもいいかな、なんて。 本当の作り話 (あ、)(今廊下に人影が…) ←モドル |