嗚呼、どうしてこんな事になったんだろう。私は自分の浅はかな行動に、激しい後悔と深い自己嫌悪に陥った。かと言って、現状が変わるはずも無く、目の前に映し出される映像は、私に辛い現実を突きつけてくるばかりだ。もう一度言う。嗚呼、どうしてこんな事になったんだろう。



「わたくし、サブウェイマスターのノボリと申します。片側に控えるのは同じく、サブウェイマスターのクダリです。」

「さて、マルチバトル。お互いの弱点をカバーし合うのか、はたまた圧倒的な攻撃力を見せるのか、楽しみでございますが貴女様とパートナーの息がぴたりと合わない限り、勝利するのは難しいでしょう」

「ではクダリ、何かございましたらどうぞ!」

「ルールを守って安全運転!ダイヤを守ってみなさんスマイル!指差し確認準備OK!目指すは勝利!出発進行!」



嗚呼、あぁ、あぁあ!今目の前に黒と白の悪魔がいる。片方は鉄のように硬い表情で感情を隠して。もう片方はべっとりと口元に笑みを貼り付けて、私の目の前に立っている。気味が悪い。気持ちが悪い。吐き気がする。彼等が一歩でも前に足を踏み出したら、テッカニンもびっくりするような速さで背を向けて駆け出すだろう。もしくはその場に蹲って泣く。それほどに彼等が怖くて仕方ない。理屈や感情も全部無視して、身体が全力で拒絶を示している。これが生理的に無理、と言うやつだろうか。足元がグラグラする。平衡感覚が狂っているのは、ここが車両の中というだけが原因じゃない。現実を受け入れたくない脳が酸欠でも起こしているのだろう。嗚呼、いっそこのまま気絶してしまえればいいのに。もうバトルが始まったこの状況で、できるはずがないのだけれど。私ができることと言えば、早々にバトルを終わらせて帰る事だ。それしかない。視界をフィールド内だけにセーブして、なるべく黒と白を視界に入れないように、私は戦った。イッシュリーグに出場した時より神経をすり減らして。早くこの場から逃れる事だけを望んで。そうして扉が開くと共に友人の引き止める声も無視して私は飛び出した。(今思えば、ここに来たのは友人に誘われたからだった)もう二度と来るもんか、と心に強く刻み付けて。そのせいで彼等の呼び止める声に、私は気づけなかった。




道化恐怖症






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