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「ねぇ!キミ名前なに?どこからきたの?キミ、突然落ちてきた。なんで?テレポート?でもポケモンいない。それにキミ無傷。キミすごい、おもしろい!ぼくびっくり!ノボリもびっくり!ねぇねぇなんで?ひょっとして………キミ、ポケモン!?」

「とりあえず落ち着け」



できれば私の脳も落ち着いてくれ。いくらDS壊れたのがショックだったからってこんな夢見せなくてもいいよ。なんてモンを3D化してくれてんだ。起きたら白い車掌さんが私を見下ろしていました、とかどんな夢だ。



「トリアエズオチツケ?それがキミの名前?ながいね!」

「どうしてそうなった」

「ちがう?トリアエズオチツケじゃない?」

「違うよカガリだよそんな名前ヤダよ」

「カガリ!いい名前!」



あ、うん。そう…。と適当に返しながら考える。なんで某地下鉄の廃人代表が目の前にいるのかを。私は大学にDS取りに行って、そしたらバグってて、傷心のあまりつい涙がポロリしたんだ。(あ、今思い出しただけで悲しい……)そしたらDSが光って顔面ダイブした後から記憶がない。辺りを見回す。どこかの医務室だろうか、棚に薬品や医療器具が並んでいる。ベットが二つあって、私はその一つに寝ていた。そして私の悩みの種である全身真っ白の人物を見る。白いコート、白い帽子。ここまでならコスプレですか?と、聞けるが、後の鋭利なもみあげと不自然に釣りあがった口元はもう本物としか思えない。これが俗に言うトリップと言うやつだろうか。壊れたDSでトリップができるなら全国の純粋な子供や、腐った大人達が一斉にDS壊し出すよ。



「失礼ですが、貴方のお名前は?」

「ぼくクダリ!サブウェイマスターをしてる。ダブルバトルが好き!」

「テンプレですか、ありがとうございます」

「カガリ、なんでいきなり敬語?」

「気にしないでください」



一縷の望みに賭けて聞いてみたが、ある意味予想通りの回答に、思わず溜め息が落ちる。白いサブウェイマスター、クダリ。兄と一緒に挑戦したマルチトレインで、一度だけ会った事がある。もちろんそれは画面越しに、だ。それなのに、それなのに今、目の前にいる彼は、同じ空気を吸って、なんの壁もなく私を見つめて、………生きて、いる。感動からか恐怖からかわからないが、何故か鳥肌が立つ。最後の悪足掻きに、定番の頬でも引っ張ってみようかな、なんて考えていたら突然何かが私に触れた。ビクリと反射的に身体が揺れる。何かと見てみれば、真っ白い彼が私の背中に腕を回して、私の腹に顔を埋めていた。つまり、クダリさんに抱きつかれている。……状況を理解した瞬間、顔に熱が集中したのがわかった。ちょ、やめてくれ。私の異性への耐久、紙だから!



「あの、クダリさんっ?…いっ!?」

「ぼくそれ嫌い!敬語ダメ!」

「ちょ…っ!痛い!しまって…ま、すっ!なんか、骨が、!ギリギリ、してっ!」

「敬語やめる?」

「やめ、ます!やめる…かっら!はな、せ!」

「失礼しま…何をしているのですかクダリ!」



骨が軋む痛みから解放されたのは、ゴンっと鈍い音が白いのの頭と黒いのの拳により、奏でられた後だった。嗚呼、どうやらこれは現実らしい。(だって頬を引っ張るまでもなかった)




救世主は黒、現実は白





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