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「あ……あ、った…!」



肩で息をしながら無事荷物を発見し一安心、そして一時休息。つらかった。スポーツなんて高校と一緒に卒業した私にはあの坂は地獄だった。心臓破りの坂って、ああいうのを言うんだと思う。未だに動機激しいもん。パンクしそう。心臓が大人しくなるまで休憩する事にした私は、早速DSに手を伸ばした。疲れてたってポケモンは出来る!電源を入れてソフトを選択。それから全然ポケモンっぽくないNのオープニングが始まって…………



「……あり?」



おかしい、画面が真っ白だ。え、これバグ?………え!?まじで!?ちょっ、バグとか笑えない!ボタンをひたすら押したり、電源を切ったりしたけど画面は真っ白のまま。混乱して涙出てきたよ。お、お、お、俺のサザンドラたん…っ!ゲーチスの手持ちが54レベルでサザンドラいるのにムカついて、必死に64レベルまで育ててサザンドラVSサザンドラで圧勝した俺のサザンドラたんが…!他にも四天王無双したペンドラーたんとかゆうちゃんにもらったマゴコロたんとかポケルスかかってる子とかネタでしかない色違いのオタマロとか………全部、消えちゃった?



「うそ………」



……………あー泣けるよ。泣けてくるよ。卒業式でも泣いた事ないのにデータの消失で泣いちゃう自分乙。ぽたぽたと目から落ちた涙が真っ白なままの画面に落ちる。もしかしてこれ、データじゃなくてDSごと壊れてんのかな、とか最悪な展開を考えた、次の瞬間。本来ありえないほどの光を、DSが発した。眩しくて目が開けられないほどの光が私を包みこむ。熱をまったく感じないその光は、突然現れ、そして突然消えた。なんだったんだ一体。でも、目を開けようと思うより早く感じたのは、落ちていくような感覚で……。



「へぶぅっ!」



訳もわからぬまま顔面ダイブを決めましたまる は、鼻とデコが痛い!いつから私は何もない所でこけるなんて高等テク身につけたんだ、ドジっ子体質なんて必要ないよ!起き上がろうと目を開けて、目を疑った。教室の床はフローリングみたいな木の模様があったはずだ。でも私の目の前に広がる床は灰色でツルツルした、まるで電車の中のような床だ。あの、雨が降った日だとすごく滑るやつ。



「お客様!」「危ない!」

「へっ?」



声をしたほうに目を向けると、目の前に眩い電撃と、たくさんの岩が迫っていた。意識が遠のく私に追撃するように、後ろからも何かが迫るような大きな音が聞こえた、気がした。



最後に過ぎった白と黒






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