「あーーーー!!!!!」
JKの憩いの場(私はJKではなく、JDだが)、マク●ナルドで私は思わず声をあげてしまった。一瞬だけ注目の的。ヤダ、恥ずかしい!目の前の友人がうるさそうに耳を塞ぎながら「何?どうかした?」と聞いてきた。その隣に座るもう一人の友人はひたすらポテトを貪っている。おい、無関心か。
「大学にポケモン忘れて来ちゃった…」
「またぁ?」
「あと上着と筆箱と昼食べるつもりだったパンも…」
「忘れ過ぎだろ」
「何時もの事だけど」そう言って友人は溜め息を吐いた。そうなのだ。私の忘れ癖は激しい。学校に行っても教科書や課題を忘れてしまうし、買い物に行けば買った物だけでなく財布も忘れる。一度、学校に財布を忘れた時は財布のお金だけでなく、財布丸々盗まれてしまい、中に入っていたポケモンのソフトSS(ソウルシルバー)も無くなってしまった。その日は泣いた。財布が盗られたことより、こっちの方が精神的にキた。それからと言うもの、財布にソフトを入れるのはやめたのだが、今回はDS本体ごと忘れて来てしまったらしい。嗚呼、私ってほんと馬鹿…。
「あぁーポケモン、私のポケモンがぁ…」
「大学生にもなってポケモンとか…廃人?」
「廃人はゆうちゃんみたいな人のこと言うんだよ!」
ゆうちゃんとは大学で知り合った友達でプレイ時間は軽く800時間を越えていて、SSを失くして「ゲンガー!ゲンガー!!」と嘆いていた私に5Vのマゴコロたん(ゲンガー)をくれた人である。今は別の女の子のゲンガーを育成中。ちなみにゆうちゃんは男の子だ。私もゆうちゃんに言われ、厳選と言う廃人ルートに足を突っ込みかけている。いや、だって、勝ちたいじゃない?ゆうちゃんに負けっぱなしとか、私のプライドが許さない。でも、飽き性な私は数匹で厳選し疲れている。たった数匹で図鑑は全然埋めてないのにボックスがいっぱいだ。しかも厳選と言っても3V止まり。何匹も厳選してるゆうちゃんとは比べ物にならない。と、言うか勝ちたいけどそこまではいきたくない。そんな事より今は私のポケモンだ!
「私大学に取りに行ってくるっ!」
「え!今から!?」
「だってまた盗られたりするかも知れないし…」
「ふぉふぁふふぁいほ?」
「「お前は食い終わってから喋れ!」」
まだポテト食ってたのかこのマイペース!ポケモンで言うならこの友人はおっとりで食べるのが大好きだ。絶対そうに違いない。今も「ふぁほっふぁー」と何やらツボっている。ダメだこの天然、早くなんとかしないと…。ようやく飲み込んだ後もよっぽどツボったのかケラケラ笑ながら「もうバスないよって言ったんだよー」と言った。まじか、詰んだ。私が通う大学は山の上と言うか丘の上と言うか…とにかく行くだけで一苦労なのだ。何時もはバスに乗って行くのだが、今日の運行は終了してしまったらしい。くそ、やっぱり夏休み中に原付の免許取っておけば良かった!
「登るしかないかー…」
「明日でよくね?」
「じゃあ君は家帰ってから私の暇をどうやって潰せって言うんだい!?」
「あー、うん、乙」
「がんばってねー!」
くっそ暢気に手振って見送りやがって!残りのファンタをズゴーっと飲み干した私は「覚えてろ!」とどこぞの悪役のような台詞を残して学校に向かった。……出た瞬間の風の冷たさにちょっと戻りたくなったのは内緒だ。
冷たい風は追い風だった
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