一緒にいるだけで胸が苦しくなった。いつか離れ離れになることをいつも考えて、それが怖くて怖くて不安で泣きたくなることもあった。

間近で体温を感じる今でも、いつかは感じられなくなるんじゃないかと頭の片隅では考えてしまう。相手から与えられる温かさを感じながらも、一方では不安でいつでもどこか冷たいものを感じていた。そんなことが頭をよぎるからか、やたら目が覚めてしまう。


「どうした…?」


寝れずに身体を起こしたことで隣で寝ていた鬼道も起こしてしまった。何も言わず口を閉ざしていたら、ふと伸びてきた手に身体がびくつく。指先は目尻をなぞって涙を拭った。


「大丈夫か?」


少し遅れてから辛い、離れるのが怖いと自分の気持ちを所々掻い摘んだだけの言葉を小さく呟くと、隣から伸びてきた腕に抱き寄せられた。ポンポンと肩を叩いてあやしてくる手の動きがどこか懐かしくて落ち着く。まるで幼いころに戻った気分だ。


「俺、女々しいな…」
「別にそんなことはないさ」


そう言って慰めるように唇が目尻に触れてきた。赤くなったそこに何度か口付けると、するすると落ちて耳元で俺を呼んだ。


「俺はもうお前を離すつもりはない」
「鬼道くん…」

「ずっと傍にいて欲しいんだ」
「は、なんかプロポーズみてぇ…」


いつもだったらくさいと吐き捨てたくなるぐらいの言葉が、今は内側に染みて全ての不安を取り去ってくれるような気がした。






atao/安楽さんから




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