▼鬼不の場合





此所は食堂。不動は皆より先に食べ終わり、一人寂しくサクサクとポッキーを食べていた時だった。鬼道がそれを見てやってきて、隣の椅子に腰をおろした。

「不動、一本くれないか?」
「んー、いいよ」

不動はがさがさと袋の中から一本出して鬼道のほうに差し出した。鬼道はそれに顔を近付けると、そのままぱくりと食べてしまった。つまり、「はい、あーん」状態。

「〜は!?ちょ、何して…」
「ん?こうするんじゃないのか?」
「〜〜ッあぁもう!」

鬼道には何故不動が顔を真っ赤にしているのかわかっていない。そして皆からの突き刺さる視線にも気付いていないようだった。

「ばか!この鈍感野郎!」

照れてか怒ってか、顔を真っ赤にしている不動を見て鬼道は「あ」と声をあげた。

「これがしたかったんだろう?」
「はぁ……ッ!?」

手に持っているポッキーを不動の口に突っ込んで、その反対側からサクサクと食べ進めていく。不動は目を白黒させて頭がパニックになっている。皆もその様子をぽかんとして見つめていた。
そしてだんだんと互いの距離が近付いていく。二つの唇が重なるのに、そう時間はかからなかった。




凾ホか、そうじゃなくて

南倉→

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