(学パロ)
さっきまで騒がしかった教室も今ではすっかり静かになった。聞こえるのは教室の端でグループの女子が時々笑い声をあげるくらい。窓の外ではうちの部のサッカー馬鹿なキャプテンがサッカーをしている。きっとこのイヤホンを外したら馬鹿みたいに煩い声が聞こえてくるんだろうけど、今はイヤホンから聞こえる男性ボーカルの声しか聞こえないから少し変な感じ。 音楽を聞きながら、忙しなく動くボールを目で追う。そろそろ豪炎寺君が爆熱スクリューあたりかな?いや、もしかしたら吹雪かも。ってゆうか、アイツら必殺技使ってるしけっこう本気なんだな。 (?…そういえば、) 俺はあることに気が付いて、一度グラウンドを見回した。しかし目当ての奴の姿は見付からない。何時もはあいつらと一緒にサッカーしてるのに…。いや、別に寂しがってなんかねえからな。(けっ、なんで鬼道なんか…)ぱっと窓から目を逸らして前を向く。そしたら目の前に鬼道の顔がアップがあって驚いた。 「うっわあぁあ!?」 柄にもなく大きな声で叫んでしまった。そしたらその声に驚いた女子達は、きゃっと一斉に悲鳴を上げて教室から出ていった。 …正直心臓飛び出るかと思った。こっちは変な汗だらだら流しているのに、目の前の男は全然気にしていないようだ。きょとんとした顔で「どうした不動?」…ふざけてんのかてめぇ。 取り敢えず文句を言ってやろうとイヤホンを片方だけ外した。 「てっめ、一体何の用だ!」 「特に用は無い」 「ぶっ殺すぞ!」 特に用は無い奴になんで驚かされなきゃなんねえんだ。なんだか文句を言う気も失せたし、こいつを放って音楽を聞こうとイヤホンを付けようとしたが、それを阻止されてしまった。外した方のイヤホンがぱっと奪われた。 「なにすん…」 「…これはJPOPというやつか?」 「!…ちょ、」 奪ったイヤホンを耳にあてながら歌を聴く鬼道。またまた俺はコイツの行動に驚かされた。窓際の教室で片耳イヤホンなんて、どこの青春漫画だよ。それを無駄に意識している俺には全く気付いていないようで、鬼道は歌を楽しそうに聞いている。多分片耳イヤホンなんて普通なんだろうけど、異常に意識しすぎて、頭がパンク寸前だ。 「おい不動、歌終わったぞ」 「……うん」 前から鬼道の不満気な声が聞こえてきた。取り敢えず俺は歌が終わったことに気付かなかったくらいテンパってたみたいだ。 /君と青春ごっこ ×
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