さくっさくっと音をたてながら雪の上を歩き回る不動を、少し離れた庭のベンチに座りながら鬼道は眺めていた。ここではあまり、積もることも降ることすらも無い雪が珍しいからか、今日の不動はなんだか楽しそうに見えた。 「鬼道くんも来いよ」 「…俺はいい。寒いからな」 「てめぇ何歳だよ、まだ14だろうが。ったく…寒いとかジジイかよ」 鬼道はジジイという言葉に苦笑しながら、ベンチから腰をゆっくりと上げた。それから積もっている雪を手のひらで丸めて、不動の背中目掛けてぶんと投げた。 ばしゃっとそれは音をたてて不動の背中で弾ける。当たった不動はびっくりしたのか目を丸くして、笑っている鬼道を見つめていた。 「やりやがったなー」 「…ふん」 「雪だるまみてぇにしてやる!」 不動はそう言うと雪をかき集めて、あははと笑う鬼道に向かってばしんと投げつけた。やられたらやり返すのが当たり前。不動はさっきの宣言通り、鬼道を雪だるまにするつもりで雪玉を作っては投げ、作っては投げを繰り返した。しかし鬼道も雪だるまにされては困ると鬼道家の広い庭を逃げ回りながら応戦した。 「…んの、待ちやがれ!」 「雪だるまにされるのに誰が待つか」 「お前だよ…ってつめた!」 「はは…っ」 それから暫くの間、大量の雪玉が二人の間を飛び交っていた。 *** 「つっめたー」 「ああ…風邪ひくぞ」 流石に寒くなったのか、二人は雪合戦をやめることにして、お互いの体についた雪をぱんぱんと払いあった。 「あーあ、結局鬼道くん雪だるまに出来なかったし、雪合戦負けちゃったなぁ」 「…そうだな」 「ふ…そうやって笑ってられるのも今のうちだぞ。次はぜってぇ負けねぇからなー!雪玉いっぱい投げつけて雪だるまにして、更にその上に…」 鬼道をやっつける妄想を頭の中で繰り広げる不動に、鬼道は仕返しとばかり鼻の頭をぺろっと舐めてやった。 「雪、ついてたぞ」 「〜ッあぁぁ…!」 恥ずかしさと悔しさで悶える不動に、鬼道はふっとほくそ笑んだ。 リハビリにしては酷すぎる(^o^) ×
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