▼南倉の場合





「なぁ倉間、ポッキーちょうだい?」

今日はポッキーの日ということで、朝にコンビニで買ってきたポッキー。昼休みにそれを立ち入り禁止の屋上でゲームをしながら食べていると、南沢が倉間を見つけて来たようだ。倉間は視線をゲームから反らさないで「どうぞ」と言うと、どうやらそれが南沢には不服らしかった。暫く考えた後、にやりと笑って言った。

「なぁ、せっかくポッキーの日なんだしさぁ…」
「……」
「ポッキーゲームしようよ」
「…へ?」

南沢は倉間のくわえていたポッキーをぱくりとくわえると、倉間の後頭部に手を回して離れないように固定した。
突然視界からゲームが消えた倉間は、驚いた。南沢は自分の食べているポッキーの反対側をくわえて楽しそうに笑っている。離れようとしても後頭部が固定されていて動けなかった。だんだん近づく距離に倉間はどきどきしながら、さくりと一口だけ食べ進めた。
少し驚いた顔をした南沢は、残りのポッキーを一気に食べ進めて舌で倉間の唇を割って口内に入り込んだ。

「ッん、ふ…ぁ」

ガシャンとゲーム機が手から落ちた音がした。一瞬画面にキズが入ったらどうしようかと思ったが、その思考はすぐに南沢のキスによってかき消されてしまった。

「ん…は…」
「っ、も…はぁ、」

グラウンドの生徒達の影は段々とまばらになっていく。キーンコーンと昼休み終わりのチャイムが鳴り響いて、二人は一度唇を離した。

「…チャイム、鳴っちゃいましたよ」

それでも南沢は倉間の前から退こうとしない。

「……倉間」
「はい」
「一緒にサボろっか」
「…はい」

その約3秒後、倉間は南沢に押し倒されることになる。






剋業サボってポッキー

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