「きどーくん、頭洗って」
「ん。」

鬼道はシャンプーのノズルを押してを手にとると、不動の髪の毛をわしゃわしゃと洗ってあげた。
不動の髪は少ないから洗うとき楽だな、と言うとバシッと腹を殴られた。

2人は今、鬼道の家の風呂場にいる。
今日は父親が仕事で帰ってこないらしい。
お手伝いさんはというと、食事の支度などをし終えてから帰ってしまった。
つまり、この広い家には2人きりという状況である。

「洗えたぞ」
ザァァとシャワーで髪の毛の泡を丁寧に流してあげると、不動は湯船に入っていった。
「…俺のは洗ってくれないのか」
「えー。だって鬼道くんの髪の毛めんどくさそうだし」
淵の上に腕と顎をおいてケラケラと笑って、重そうな髪の毛を洗っている鬼道を見ていた。
そして髪を洗い終わった鬼道は体についた泡を流してザバッと湯船につかった。
「んー…」
ブクブクと口まで顔を沈めて遊んでいる不動を後ろから抱きすくめた。
肌が触れ合うのは心地よくて鬼道は好きだった。
「不動ー」「ん」
ぴくりと不動の体は揺れたが嫌がりはしなかった。
それで気をよくした鬼道は、目の前の白くて細い項にカプリと噛みついた。
「いッ!?」
「…」
ちゅ、と音をたててキツく肌を吸い上げた。唇をはなすとそこには毒々しく紅い鬱血痕が残っていた。
「〜〜ッ見えるじゃねーか」
「まぁ大丈夫だろう」
何が大丈夫なんだよ!と言って腕からぬけ出そうと少し暴れた。
「もう出る。鬼道くんに何されるかわかんねーし」
「わかった。もうしないから」
より一層強く抱きしめた。
「〜〜っじゃなくて…」
「…?」
グラリと不動の視界が歪んで、ぐったりと浴槽の淵にもたれかかった。
「不動!?」
「あ゙ー…死にそう……」
不動はのぼせてしまったのだ。
鬼道は不動が自分より長く湯船につかっているという事をすっかり忘れていた。
「不動?不動?」
「……」
「不動ー!!」












「あー…気持ちわり…」
「……すまない」
不動は額の上の濡れたタオルを鬼道にベシャリと投げつけた。
当たったひょうしに水しぶきがあちこちに飛び散った。「水…多すぎ…」
「あ、あぁ」
もういい、と言ってシーツで顔を隠した。
鬼道はミネラルウォーターを持ってこようとベッドの側から立ち上がった、その時。
ギュッと服のすそが引かれて倒れそうになる。鬼道は再びベッドの脇にぽすんと座った。
「ふど…」
「此処にいろよばか」
シーツで顔は見えないけど不動の顔が赤いのが鬼道にはわかっていた。
普段は言われたことのない事を言われた鬼道は驚きとその可愛さ何も言えなくて。ただ黙って不動の側にいて手を握っていた。
「…I'll stay with you.」
不動に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声でぼそりと呟いた。







stay with me!

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -