※ちょっと下品




南沢さんは、見かけによらずに天然だと思う。なんか凄い裏で計算して小癪そうな顔してるけど、天然だと思う。うん。だってまさかこんな事になるなんて、誰一人として想像してなかった筈だ。

「……南沢さん…」
「ん?」

さて、こんな事になった原因は先ず霧野だと思う。霧野が三国さんがもうすぐ誕生日だから手作りケーキ作ろうとか言い出したから。「プリンとかあるんじゃねーの」とか抗議したけどなんか決定して、分担してやろーぜとかなって、いつの間にか俺と南沢さんがケーキのクリーム作りの係かなんかになってた。もちろんキッチン等は神童の提供だ。
とまぁそれはおいといて、何故俺の目の前に髪やら顔やらがクリームにまみれた南沢さんがいるんだ。

「…いっぱい飛んだ…」
「は…」

何言ってんだこの人。もうそんな元からエロい顔してるのに更に白い物がかかったらアウトだろ。生クリーム?いやいや、もう生クリームなんかに見えねぇよ。アレだろ、うん。しかも「いっぱい飛んだ」てなに、何がいっぱい飛んだんだよ。

「南沢さん…何してんすか」
「ん…何って、混ぜてたら飛んだんだよ」

そう言って手についた生クリームをぺろりと舐めた。ちょっと待てよ下半身、下半身が痛い。

「倉間ー、クリームできたかー?」

霧野がこっちに来る足音が聞こえる。待てっ、こんなエロい南沢さんを霧野の前に晒すことなんて出来ない。
慌てて南沢さんを、このばかでかいキッチンのすみのほうへと押しやるが、南沢さんはえ?と言うだけでなかなか動こうとしない。ああ、だんだんと足音が近付いてきてる。

「ま、待て霧野!もう少しだから…」
「え…」

入り口のところからひょこりと顔を覗かせた霧野は、こちらを見て固まった。こちらというよりは南沢さんだ。
普通なら「ああクリーム飛んだんだな」で済むだろうけど、南沢さんなだけあってやはりそうもいかないようだ。霧野の顔が引きつっている。

「……倉間」
「……んだよ…」
「……そういうプレイとかも色々したいんだよな。悪かった」
「ちがっ…!」

駄目だ、完全に誤解してるぞアイツ。
霧野は微妙な空気を残して去っていった。なんということだ、絶対アイツ俺のこと変態って思ってる。

「…くらまー」
「……なんすか…」
「クリーム甘い」

こんなことになった張本人の南沢さんは前髪についたクリームと闘っていた。ほんと見れば見るほど体に悪い映像というか、…生々しい。
もうどうせなら本当に襲って喰ってやろうか。

「…南沢さん甘そうですね」
「んー、」
「喰べてもいいですか?」

そして目を丸くする南沢さんを壁に押し付けてやった。










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