くすくすと笑いあう男女の声が、教室の中から聞こえてくる。中で何をやってるかなんてだいたい想像はつくけれど、俺は扉の前から動けなかった。

たまたま帰りに通りかかった理科室前の廊下。少し開いた扉の隙間からぼそぼそと話し声が聞こえてきて、ちょっと興味が沸いて見てみたら、抱き合う二人の影が見えてどきりとした。早く逃げないと、と思ったがなかなか足が動かない。そしてあっと気付いた。影の正体は、南沢さんだった。



結局俺が理科室の前から逃げ出したのは、中の二人が行為を終えてからだった。ばたばたと煩い足音は二人の耳に届いているのだろうか。
鞄をもう一度掴み直して校門まで息を切らして走った。
俺の頭の中では南沢さんの甘く囁く声と、誰か知らない女のよがる声が響いていた。







×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -